IDX の対応

ますます多くのエレクトロニクス製品に、電気的、機構的なコンポーネントが含まれ、製品リリースサイクルは、より短くなってきています。この状況では、ECAD と MCAD 領域間の共同作業が必要になります。しかし、その共同作業は、スムースにはなりません。電気設計者と機構設計者は、よく E メール、または慣れないお互いの設計ツールで情報を交換します。その解決策は、信頼できる作業環境を確保しつつ、変更案をグラフィカルに伝達できる方法を使用することです。この方法は、ProStep のデータ変換用の Electrical Design, Mechanical Design (EDMD) 基準(XML プロトコルに基づく)を通して利用できます。この共同作業基準は、変換ファイルフォーマットの名称で IDX (Incremental Design Exchange フォーマット) と呼ばれます。

この中間変換ファイル (*.idx) を使用して、電気設計者は、機構設計者が必要な基板の変更のみエクスポートできます。逆に、機構設計者は、電気設計者(変更をデザインへインポートできる)へ変更を戻せます。

この ECAD と MCAD 領域間の共同作業基準は、Altium Designer (Mechanical CAD Collaboration の拡張機能)で利用できます。この拡張機能は、ProStep EDMD 変換フォーマットを使用して、Altium Designer と 機構系 CAD のアプリケーション (SolidWorks 等) 間でデータを変換できます。

 

Altium Designer では、バージョン2.0 の IDX フォーマットのみ対応しています。

拡張機能の利用

Mechanical CAD Collaboration 拡張機能 (Software Extension) は、Extensions & Updates 画面 (DXP » Extensions and Updates) の Purchased タブにあります。

Mechanical CAD Collaboration 拡張機能。

 

拡張機能をダウンロード、インストールしたら、Altium Designer を再起動します。

共同作業のための Baseline EDMD ファイル

共同作業は、どちら側(電気設計者、または機構設計者が最初に ProStep EDMD ファイルを作成)からでも開始できます。電気設計者がそれを行った場合、作成したファイルは、ECAD Baseline ファイル (ECAD Baseline.idx) と呼ばれます。これは、機構設計者が利用できます。機構設計者がそれを行った場合、それは、MCAD Baseline ファイル (MCAD Baseline.idx) と呼ばれます。これは、電気設計者が利用できます。

 

Altium Designer (ECAD Baseline を作成)からエクスポート

共同作業に関するAltium Designerでの主なインターフェースは、Mechanical CAD Collaboration パネル(PCB エディタをアクティブにしている時に、右下の PCB ボタン をクリックし、ポップアップメニューから Mechanical CAD Collaboration を選択して表示します)です。

 

また、このパネルは、Tools メニューから Mechanical CAD Collaboration コマンドを使用して表示できます。

共同作業を開始するには、Export Baseline ボタンをクリックします。Export EDMD Baseline ダイアログ(銅箔オブジェクト等のエクスポートオプションがあります)が表示されます。

 

銅箔をエクスポートするとデータ量が大きくなり、その処理が遅くなります。また、EDMD テクノロジーは、銅箔オブジェクトに関する変更を対応していません。

 

ECAD Baseline を作成して、Altium Designer で共同作業を開始。

 

Altium Designer (MCAD Baseline を作成) へインポート

baseline ファイルを MCAD 側で作成した場合、File » Import MCAD IDX Baseline コマンドを使用して、そのファイルを Altium Designer へインポートできます。Import MCAD Baseline ダイアログが表示されます。これを使用して、MCAD Baseline ファイル (MCAD Baseline.idx) と、変更を同期する PCB ドキュメントを指定します。

MCAD Baseline をインポートして、Altium Designer で共同作業を承諾。

 

MCAD Baseline EDMD ファイルをインポートしたら、Mechanical CAD Collaboration パネルから共同作業を続行できます。

Collaboration フォルダ

Altium Designer (EDMD Baseline ファイルを作成して) から共同作業を開始する時、オリジナル PCB ファイルのプロジェクト下に collaboration フォルダが作成されます。そのフォルダ名は、PCB ドキュメント名と同じ名称(PCBDocumentName.PcbDoc_EDMD と言う形式)になります。そのフォルダには、以下の 2 つのファイルが含まれています:

  • AD_EDMD_State.xml
  • ECAD Baseline.idx

 

生成したフォルダは、Mechanical CAD Collaboration パネルの Show In Explorer をクリックして表示できます。

 

EDMD フォルダと baseline ファイルの作成。

変更の同期

Mechanical CAD Collaboration パネルでは、ECAD と MCAD 領域間で変更を同期するために管理できます。変更は、EDMD Changes ファイルから参照されます:

  • 機構設計者が変更を提案し、新しい EDMD Changes ファイルで送った場合、そのパネルを介して、変更を PCB デザインへ渡すことが(インポート)できます。
  • 基板を変更した場合、パネルでは、変更(銅箔の変更以外)が検出されリスト表示できます。これは、EDMD Changes ファイルへエクスポートできる状態です(つまり、この後、機構設計者が利用できます)。

基板の変更を検出

PCB ドキュメントを変更(例えば、コンポーネントを削除)した場合、変更は、Mechanical CAD Collaboration パネルの上部にある Detect Board Changes ボタンをクリックして検出できます。検出できた変更は、Board Changes 領域(以下の項目内容)にリスト表示されます:

  • Object - 例えば、コンポーネント デジグネータ。
  • Change - 例えば、コンポーネントを削除、追加した変更。
  • Status - ECAD 側の変更を提案された状態。
  • Proposition Comment - 機構設計者へ変更を説明するための注釈。

基板の変更を検出。

 

リスト内の変更をクリックすると、PCB ドキュメント内のその変更箇所がハイライト表示されます。

変更し検出され、コメントを追加したら、変更は、Export Changes ボタンを使用してエクスポートできます。これにより、EDMD Changes ファイル (ECAD Changes n.idx) が作成されます。

 

提案した変更をやめるには、Abandon Changes ボタンをクリックします(Board Changes リストが削除されます)。

 

基板の変更をエクスポートして、EDMD Changes ファイルを作成し、提案した変更を機構設計者へ送付。

これで、機構設計者が変更をインポートしたり、見れる状態です。それから、機構設計者は、順番に各変更を承諾、または拒否して、返答として EDMD Response ファイル (MCAD Response n.idx) を送ります。これを受け取ったら、Import Response ボタンを使用して、その返答をインポートします。その返答ファイルで変更を適用するために、Apply Changes and Respond ボタンをクリックします。ECAD 側から EDMD Response ファイルを生成して、機構設計者へ戻します (ECAD Response n.idx)。

この情報交換機能により、双方のツール間で変更を確実に同期できます。

変更のインポート

機構設計者が、変更を提案した場合、それらの変更は、EDMD Changes ファイル (MCAD Changes n.idx) で提案されます。Import Changes ボタンを使用して、変更をインポートします。変更は、Changes from Mechanical CAD 領域(以下の項目内容)にリスト表示されます:

  • Object - 例えば、コンポーネント デジグネータ。
  • Change - 例えば、コンポーネントを移動した変更。
  • Status - MCAD 側の変更を提案された状態。
  • Proposition Comment - 電機設計者へ変更を説明するための注釈。

これで、電気設計者が変更を見れる状態です。順番に各変更を承諾、または拒否します。リスト内の変更をクリックすると、PCB ドキュメント内のその変更箇所がハイライト表示されます。変更を承諾するには、Accept チェックボックスにチェックを入れます。拒否する場合は、このチェックを外します。変更を承諾/拒否したら、Apply Changes and Respond ボタンをクリックします。承諾した変更は、PCB ドキュメントへ適用され、EDMD Response ファイル (ECAD Response n.idx) が機構設計者へ送られます。

 

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