xSignal ウィザード
xSignal (extended signal) 機能は、複数のネットを一つの信号へまとめることができます。この xSignal は、デザインルール(例えば、Matched Length デザインルール)で対象にできます。複数のネットを xSignal へまとめるために、xSignal には、直列のコンポーネントや分岐配線(T ジャンクション)に対応した高速設計で使用する設計機能が含まれています。
Altium Designer 15.0 で xSignal 機能を導入しました。xSignals は、Design » xSignals » Create xSignals コマンドを使用して作成できます。Create xSignals from Components ダイアログが表示されます。そこで、選択したコンポーネント間のネットに関する複数の xSignal を作成できます。このダイアログでは、end-to-end xSignal を作成します(つまり、ソースコンポーネントピンから到達先のコンポーネントピンまで)。この方法で、ほとんどのデザインは対応できますが、end-to-end xSignal 内で、正確に配線長をコントロールするために xSignal を追加する必要がある場合があります。
例えば、信号 Address0 の出力ピン (U1-6) が、直列終端 (R1) を介して T ジャンクションで 2 つのメモリコンポーネントの入力ピンに接続されている場合を考えてみます。分岐点は、まだ自動で管理されていません。この間、設計者は、ソースピンから終端コンポーネントまでの各 xSignal の配線長を調整できます。それから、反対側の終端コンポーネントから到達先のピンまでの各 xSignal の配線長を調整できます(必要に応じて、各分岐から開始し、終端コンポーネントと分岐点間の配線長チューニングを追加して)。
これらの機能は、Altium Designer 15.1 で導入した xSignals Wizard で利用できます。ウィザードでは、コンポーネント間の複数のネットに関する end-to-end xSignal を定義したり、それらの end-to-end の信号に関する xSignal を作成できます。また、ウィザードでは、設計者が有効にした設定に基づいて、xSignal クラスや、それらの xSignal を対象にする Matched Length デザインルールを作成できます。ウィザードを完了したら、配線長チューニングを開始できます。
xSignal ウィザードは、一つのソースコンポーネントと複数のターゲットコンポーネント間の xSignal を作成するために使用します。ウィザードでは、コンポーネントを方向づけて、可能性のある xSignal を識別します(1 つのソースコンポーネント、ネット、ターゲットコンポーネントを選択します)。それから、直列受動コンポーネントと分岐を介して、ソースコンポーネントから指定コンポーネントまでの経路を解析します。生成したい xSignal を選択して、必要に応じて、Matched Length デザインルールを作成できます。
また、ウィザードは、multiple-run ツールです。例えば、xSignal Routes ページで、最初に作成する xSignal 全体のマスターグループから sub-set を選択し、クラスやルールを定義します。それから、マスターグループに戻って、他の sub-set を選択し、クラスやルールを定義できます。
ウィザードの長所の一つは、ウィザードとワークスペース間の作業が容易になることです。ウィザードのページにある xSignal をクリックすると、それに関するパッドや配線が、ワークスペースでハイライト表示されます。
この段階で、ウィザードでは、T ジャンクションの識別子(接合点、または分岐点と呼ばれます)は自動で追加されません。デザインに分岐配線が含まれている場合、以下のように促されます:
- ソースコンポーネントから受動コンポーネント(例えば、直列抵抗)までの配線長を調整します。
- T ジャンクションから到達先のコンポーネントまで、各分岐の配線長を調整します。
- 必要な場合、T ジャンクションまでの受動コンポーネント(または、受動コンポーネントが無い場合、ソースコンポーネントから)間の残りの配線長を調整します。
xSignal ウィザードは、以下を選択して実行できます:
- Design » xSignals » Run xSignals Wizard
- コンポーネントを右クリックし、xSignals » Run xSignals Wizard
ウィザードは、いくつかのページで構成されていますが、ページ数は、回路構成に依存します。例えば、直列終端がある場合、追加ページがあります。各ページの設定は、以下で説明します。
ソースコンポーネントの選択
このページで、一つのソースコンポーネントを選択します。コンポーネントに関する フィルタ や Min Pin Count を使用して、目的のコンポーネントを検索できます。* や ? のワイルドカードに対応しています。
Next をクリックして続行します。
ソースネットの選択
選択したソースコンポーネントに接続されている目的のネットを選択します。ネット と Net Class フィルタを使用して、目的のネットを検索できます。
Next をクリックして続行します。
到達先のコンポーネントを選択
到達先のコンポーネントを選択します。コンポーネントに関する フィルタ や Min Pin Count を使用して、目的のコンポーネントを検索できます。
Next をクリックすると、ウィザードでは、コンポーネント間の選択したネットから作成できる全ての xSignal が識別されます。ウィザードで、選択したネットに接続されているピンが 2 ピンのコンポーネントとして検出された場合、これらは、自動で直列終端コンポーネントとして識別され、追加のウィザードページが後で表示されます。
Next をクリックして続行します。
xSignal 経路
また、その図では、直列終端コンポーネント(R1、R2、R7)を検出したことを示します。R7 は、集合抵抗です。この状況で、ウィザードは、自動で論理的な結びつきを作成します。集合抵抗に関して、抵抗の片側のピンと、それと同じ列にある反対側のピンのネットをペアにします。
抵抗の反対側のピンが、同じ列に無い場合があるため、Dest Pin 欄のドロップダウンを使用して、他のネットを選択できます。あるいは、ウィザードの上部にある Show all alternative paths オプションを有効にして、xSignal を生成するためのネットの組み合わせを表示します。xSignal を作成したい各行のチェックボックスを有効にします。
Next をクリックして続行します。
xSignal 配線長チューニング
このページは、xSignal の Matched Length デザインルールを自動で作成するために使用します。この新しいデザインルールで対象にしたい xSignal のみ有効にします。デザインで、別の要件のルールが必要な場合、後で xSignal のルールを追加できます。この最初の段階では、全体の end-to-end xSignal が表示されます。後のページで、xSignal 内の一部(例えば、直列終端抵抗の出力ピン用)に関してデザインルールを定義できます。
xSignal Class Base Name 欄は、現在、選択した xSignal の名称を定義するために使用します。それから、この xSignal は、Matched Lengths Rule Base Name 欄で入力した名称、Length Tolerance の欄で指定した値のデザインルールが対象になります。
Next をクリックして続行します。
選択したネットに直列終端コンポーネントが含まれている場合、追加ページが表示されます(これらのネットに関する xSignal やデザインルールを追加できます)。上図は、ソースピンから終端コンポーネントまでの xSignal に関する Matched Length デザインルールを作成している状態を示します。xSignal / xSignal クラス / これらのデザインルールが必要な場合、Yes, I want these segments to have the same length をクリックし、目的の xSignal を有効にします。そして、Class Name、Rule Name、Tolerance を定義します。Matched Length ルールで使用する xSignal が作成されます。
Next をクリックして続行します。
受動から到達先コンポーネントまでの配線長チューニング
このページは、終端コンポーネントから到達ピンまでの xSignal に関する Matched Length デザインルールを作成するために使用します。これが必要な場合、Yes, I want these segments to have the same length をクリックし、目的の xSignal を有効にします。そして、Class Name、Rule Name、Tolerance を定義します。Matched Length ルールで使用する xSignal が作成されます。
Next をクリックして続行します。
レポートと継続
このページでは、以下の情報が表示されます:
- これから作成する xSignal の数
- これから作成するデザインルールの数
このページの下部で、以下を選択できます:
- continue length tuning for created signals - 前ページの特定の xSignal を無効にして、それらの xSignal のルールを追加する必要がある場合、このオプションを選択します。
- Restart Wizard for the same source component - これらの設定を放棄して、同じコンポーネント/ネットについてウィザードを再開したい場合、このオプションを選択します。
- Finish Wizard - このソースコンポーネントの xSignal とデザインルールを作成して終了する場合、このオプションを選択します。