PDF 3D エクスポート

Altium Designer のユーザは、PCB デザインを 3D で表示する機能(基板の実際の構造、そのコンポーネント、それに関する機構的な部分をわかりやすく表示する)を活用してきました。

この 3D 機能の利点を、設計チーム以外(例えば、お客様でない製造、実装業者)も利用できます。これは、Altium Designer Viewer を使用したり、PDF フォーマットで複数の固定の 3D デザイン画面を生成して、限られた機能で利用できました。

しかし、この新しいバージョンで PDF 3D エクスポート機能を追加し、外部の関係者が、PDF 上で 3D 画面をインタラクティブに(表示したい個所を自在に)表示できます。このインタラクテイブ 3D フォーマットは、最近のバージョンの Adobe® Acrobat® Reader で表示できます。


Adobe Reader(PDF)で 3D デザインをインタラクティブに表示(表示したい要素をズーム、回転、選択)。

Acrobat Reader での 3D

インタラクティブ 3D 表示は、高度な 3D 表示機能が導入された Acrobat Reader (バージョン 7 から開始)で可能です。次第に、Acrobat Reader の後のバージョンから改善されました。Altium Designer の PDF 3D エクスポートで作成した詳細や設定オプションは、バージョン 9 やそれ以降と互換性があります。

この新しい 3D 機能の基礎は、コンピュータ グラフィック ファイル用に業界で開発された Universal 3D (U3D) フォーマット(ECMA-363 として European Computer Manufacturers Association (ECMA) で標準化された)で構成されています。U3D は、もともと PDF フォーマットで対応しており、Acrobat Reader のインタラクティブ 3D 表示用に PDF ファイルに埋め込み(や圧縮)できます。

クロスプラットフォーム 3D ファイルフォーマットで、3D を表示するための特定のソフトウェアは必要ありません。Altium Designer からエクスポートした PDF 3D ファイルの場合、埋め込まれた内容には、Altium Designer の 3D 画面で表示できるデータ(トラック、パッド、ビア、ポリゴン、コンポーネント、基板のレイヤ等)が含まれています。

エクスポート 3D の拡張機能

PDF 3D エクスポート機能は、software extension の PDF3D Exporter をインストールして利用できます。

この拡張機能をインストールするには、Extension Manager (DXP » Extensions and Updates) の Purchased タブを選択し、PDF3D Exporter 拡張機能の アイコンをクリックします。ダウンロード、インストールしてから Altium Designer を再起動し、このエクスポート機能を利用できます。

インストールして使用できる準備ができたら、この拡張機能が、Extension Manager の Installed タブ下に表示されます。

PDF の生成

PDF 3D ファイルをエクスポートするには、PCB デザインドキュメントを開き、メインメニューから File » Export » PDF3D を選択します。

新しい PDF 3D エクスポート機能は、特定の角度で固定された 3D 画面と異なり、Altium Designer のインタラクティブ 3D 画面と概念は同じです。

エクスポートした PDF 3D には、回転、ズーム、パン機能があり、システム View Configurations で定義した色構成を適用できます。現在の設定(エクスポートしたPDFで表現されている色)を確認、または編集するには、Design » Board Layers & Colors を選択、またはショートカット L キーを使用して、View Configurations ダイアログを開きます。

 

PCB エディタ表示モード (2D、または 3D) に関係無く、PDF 3D ファイルは、3D フォーマットで作成されます。

エクスポート オプション

PDF 3D エクスポートを実行し (File » Export » PDF3D)、ファイル名/保存場所を指定したら、Export 3D ダイアログが表示されます。ここで、PDF での表現方法や、PDFに含めるデザインの内容を定義できます。


Export 3D ダイアログでは、エクスポートする PDF での表現方法を設定できます。

Export 3D ダイアログ オプションは、以下のように Geometry、Color Scheme、PDF Settings に分類されています。

Geometry

  • Selected Only– ワークスペースでセレクトした特定のオブジェクトタイプを含めます。
    • セレクトしたトラック、パッド、ビア等(銅箔オブジェクト)や、シルクスクリーン オブジェクトは、Selected Only モードで認識されます。
    • コンポーネントとポリゴンは、Selected Only モードでエクスポートされません。
    • ソルダーマスクとコアは、常に Selected Only モードでエクスポートされます。
  • Core – PCB コア材を含めます。
  • Solder – トップ、ボトムソルダーマスクを含めます。
  • Silk – トップ、ボトムシルクスクリーンを含めます。
  • Copper– 全ての銅箔層上のオブジェクトを含めます。
    • Hide Internal - トップ、ボトム銅箔層(内層の銅箔層以外)を含めます。
  • Text – フリーテキストや、関連テキスト(コンポーネント デジグネータ等)を含めます。
  • 3D Body – シンプル/押し出し/STEP 3D で表現された外形を含めます。
  • Merge meshes – ナビゲートするために共通のグループ オブジェクトを統合します(コンポーネントに属する全てのパッドをグループ化するような)。

3D ファイルは、圧縮しても大きいため、ユーザが必要なデザインの内容を考慮してください。例えば、銅箔層(トラック、パッド等)の内容は、機構設計者にとって必要無いかもしれません。

 

Acrobat Reader では、要件に合うように、モデル要素(グループで、または個々に)の表示を切り換えできることに注意してください(以下をご覧ください)。

3D の内容を選択する時、ビューワの 3D レンダリング機能を利用するとより便利です。PDF 3D のファイルサイズが、ほどよくても、複雑な多層デザインを流動的に表現するために PC の CPU とグラフィックシステムに負荷がかかるかもしれません。

Color Scheme

ドロップダウンメニューから PDF の表現形式(事前に定義した View Configuration の Select PCB View Configuration のリストに相当します)を選択します。それには、システムの current 3D View 設定や board layer colors が含まれています。

PDF Settings

  • Auto Activate – PDF を Acrobat Reader で開いた時、3D 画像を自動で表現するかどうか定義します。選択しない場合、Click to activate ボタンアイコンが PDF で最初に表示されます:
  • Toolbar – PDF Reader で 3D Toolbar を表示します(以下をご覧ください)。
  • Navigation – PDF Reader で Model Tree Navigation 画面を表示します(以下をご覧ください)。
  • View – PDF Reader での初期画面の角度を定義します。デフォルト設定は、透視図です。
  • Light – PDF Reader での初期 3D light source type を定義します。
  • Color – 初期画面の背景色を定義します。

 

上記オプションでは、PDF を Acrobat Reader で開いた時の初期設定を定義します。そして、reader の 3D Toolbar からそのオプションを切り換えできます。Toolbar が、PDF 3D エクスポート オプション(上記をご覧ください)で無効の場合、ユーザは、その表示を変更できないことに注意してください。

3D PDF の表示

3D PDF は、Acrobat Reader で(2D 機能の論理的な拡張機能であるコマンドやメニューを使用して)容易に表示できます。

3D オブジェクトは、3Dツールバーを選択するか、マウスドラッグやスクロールホイールを使用して、パン、ズーム、回転できます。


Acrobat の 3D ツールバーでは、3D ナビゲーションや、lighting/view 設定をコントロールできます。

reader の特徴機能として、Model Tree navigation 画面(表示されていない場合、 ボタンで開けます)があります。これにより、3D PDF で全てのオブジェクトをナビゲートできます(表示を切り換えながら、選択、ハイライト表示できます)。


Model Tree は、特定のコンポーネントやネットの表示をコントロールするために特に役立ちます。

Model Tree により、3D デザインの全ての面を確認できます。コンポーネントの配置やレイアウトの綿密な調査、または基板の内層構造の詳細な調査であるかどうかに関係無く、ナビゲーションツリーは、適切なオブジェクトを検索、表示するために使用できます。


コンポーネントやシルクを無効にして表示したデザインと、Acrobat Reader で利用できる 3D コントロールの機能を示します。

model tree で選択した時、3D 表示画面にある個々のオブジェクトは、その画面の上部で定義した色(この例で赤)でハイライト表示されます。これにより、特定のコンポーネント、またはネットを容易に見つけることができます。同様に、3D 表示画面にあるオブジェクトを選択すると、Model Tree 画面でそのオブジェクトに相当する欄がハイライト表示されます。

Acrobat Reader の様々なコントロール、機能、設定に関する詳細情報については、Adobe help content をご覧ください:

PDF 3D 出力ジョブのエクスポート

出力ジョブに PDF 3D ファイルのエクスポートを含めるには、Export Outputs の項目にある Add New Export Output をクリックします。そして、PDF3D を選択し、エクスポートするPCB ドキュメントを選択します。

PDF 3D の生成設定は、Export PDF3D ジョブを選択し、右クリックメニューから Configure を選択して、事前に設定できます。これにより、Export 3D ダイアログ(上述の通り)が表示されます。

出力ジョブを実行、または手動で実行した時、PDF 3D ファイルは、出力ジョブの Output Containers で定義した通りにエクスポートされます。これは、設定したVault コンテナやパス、または Altium Designer Preferences ダイアログ (DXP » Preferences) のData Management – Publishing Destinations で定義したローカル/リモートの保存先に保存されます。


設定した出力ジョブ内からローカルフォルダへPDF 3D ファイルを生成。

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