差動ペア配線のルール定義
差動ペア配線は、バランスがとれた伝送システムを作成するための(PCB で差動(正相と逆相)信号を伝えることができる)設計手法です。
簡略化された差動ペア配線ルールの定義
以前のバージョンの Altium Designer では、差動ペア配線のためのデザインルール(Differential Pairs Routing ルール)設定がペアギャップ属性を指定するためだけに使用されていたため、設計者は混乱しました。ペアの各ネットの配線幅は Routing Width ルールを使用して個々に設定し、それらのギャップは Differential Pairs Routing ルールで設定しました(ギャップのクリアランスは、Clearance ルールでチェックされました)。
差動ペアのネットについて、配線の Width と Gap は、両方とも下図に示すように Differential Pair Routing ルールで設定します。この変更で、差動ペアのネット幅は Routing Width ルールでチェックされません。また、それらのクリアランスは Clearance ルールでチェックされません。差動ペアのネットから、他の電気的なオブジェクトまでのクリアランスはペアの一部でないため、Clearance ルールでチェックされることに注意してください。
差動ペアの Gap 設定は、ペアの図のそばにあるコントロールを使用して、全てのレイヤに設定、または図の下にあるリストで各レイヤに設定できます。
差動ペアの Width-Gap 設定を切り換え
差動ペア配線中の一般的な必要条件は、配線幅を変更する(例えば、BGA パッケージの内側のパッドへ接続するために配線を狭くするため)ことです。しかし、差動ペアの配線幅を変更する時、インピーダンスを維持するためにギャップも変更する必要があります。これをサポートするために、Differential Pair Routing ルールでは異なる Minimum、Preferred、Maximum Width-Gap を設定できます。
差動ペア配線中、差動ペアの Width-Gap 設定を切り換えできます。Rule Minimum、Rule Preferred、Rule Maximum を切り換えるには、ショートカット Shift+B を押します。Width 設定を個々に切り換えるにはショートカット 3 を、Gap 設定を切り換えるにはショートカット 6 を使用することに注意してください。これは、インピーダンスに影響を及ぼすので慎重に行う必要があります。
差動ペア Width-Gap 設定の自動切り換え
差動ペアは、single-ended やネットペアに必要な差動インピーダンスを確保するため、一般的に特定の width-gap 設定で配線します。最適な設定をほとんどのボードへ適用できますが、BGA コンポーネント下のような領域があります(そこでは、より細くて狭い設定を使用する必要があります)。Width-Gap 設定を切り換える(上記のように)のと同様に、この要求は、複数の差動ペア配線ルール(ボード全体の差動ペアをターゲットにする優先度が低いルールと、特定の領域の差動ペアをターゲットにする優先度が高いルール)を定義して対応できます。これは、Room Definition ルールを定義して、特定の領域の差動ペアをターゲットにし、差動ペア配線ルールのスコープとしてルームを使用します(下図のように)。
以下の 3 つの画像で、BGA の下にルームがあります。そのため、差動ペアがBGA下で配線される時、より高い優先度のルームベースの Differential Pair Routing ルールが適用されます。新しい 配線セグメントがルーム外に配置されるとすぐに、ルームベースのルールは適用されません。そのため、より低い優先度の Differential Pair Routing ルールが適用されます。
配線幅の変更に関する配置操作
配線中、より狭い width-gap ルールからより広い width-gap ルールへ切り換える場合、以下の動画のように、新しいセグメントの中心線の間にカーソルを置く必要があります。これは、配置してコントロールできる位置を確定するためです。
Routing Layers ルールのサポート
Routing Layers デザインルールは、どのレイヤを配線できるようにするか指定できます。例えば、差動ペアの特定のネットをターゲットにするスコープを指定して、どのレイヤを差動ペアで配線できるようにするかコントロールできます。配線 Width-Gap 設定は、Differential Pair Routing ルールで定義します。