Situs 自動配線の要点

このアーティクルでは、ボード設定についての情報、デザインルール、配線経路の概要、配線ストラテジを含む Situs オートルータの要点を説明します。 

Situs トポロジカルルータは新しい自動配線を利用できます。それは、配線経路を最初に定義するために進歩したトポロジカルマッピング(高品質の配線を行う '人が配線したような' 経路に変換する配線アルゴリズム)を使用します。PCB エディタの必要な部分として、PCB の電気的な配線ルール定義に従います。  
Situs は簡単に設定、実行でき、最適化された配線が可能です。 

ボード設定

コンポーネント配置

最終的に、コンポーネント配置は配線に重要な影響があります。Altium Designer の PCB エディタでは、コンポーネント配置を微調整できる最適化された接続線のような多くのツールを含みます。最適化されたコンポーネント配置は、接続線が短く 'もつれる' ような時に有効です。   
その他に、パッドがグリッド(配線のためにパッド間のスペースを広げるため)上にあるコンポーネントを配置、両面基板で双方の面にある同じサイズの表面実装部品を配置、デカップリングの配置のガイドラインのためにデバイスメーカのデータシートを調べる時を含みます。これは、提案で完全な配置を考慮したものではありません。 

Keepout

ルータは、keepout レイヤにトラックやアークで作成された閉じた境界が必要です。一般的に、この境界はメカニカル、または電気的なクリアランス要求を満たす距離でボードの端から内側にあります。また、特定のレイヤにある keepout と同様に、ルータはこの境界内の keepout レイヤに従います。

ポリゴン

ポリゴンは、solid (1つ、または複数の銅箔で塗り潰した)、または hatched (トラックやアークから作成された)で作成できます。大きい hatched ポリゴンは多数のトラックやアークを含みます。ルータがこのようなポリゴンを含むボードを配線する時、オブジェクトの数が多くなるため配線プロセスがより複雑になります。
一般的に、必要な場合、配線前にポリゴンを配置すべきです。例えば、ポリゴンは主要な配線への接続、重大な ground 領域等、事前に作成するのが容易です。そうでなければ、配線完了後に、ポリゴンをデザインに追加することになります。 

配線できますか?

オートルータは、配線プロセスを理解しモデル化する人間の試みです。それから自動でそのプロセスを複製します。もし、手動で配線できない領域がボードに含まれている場合、自動配線もできません。もし、ルータが断続的にコンポーネント、またはボードで失敗した場合、インタラクティブに配線する必要があります。それは、配線できない配置、またはルール設定の問題があるかもしれません。 

事前の配線

重要なネットを事前に配線し、それを配線プロセスで変更したくない場合、Situs Routing Strategies ダイアログ ( Autoroute » Setup ) の Lock All Pre-routes オプションを有効にしてそれらをロックします。しかし、不必要にロックすることは避けてください。ロックされたオブジェクトが多数あると配線が難しくなります。 
差動ペアネットは、手動で配線しオートルータを使用する前にロックする必要があります。もし、これを行わない場合、配線が変わり差動ペアのシグナルインテグリティが変わります。 

デザインルールの設定

あなたが使用しているボード技術へ Routing デザインルールが適していることを確認します。不十分な、または不適切なデザインルールによって自動配線が不十分になります。ルータは、Routing Corners ルール以外の電気的な Routing デザインルールに従うことに注意してください。 
ルールは、PCB Rules and Constraints Editor ダイアログ( Design » Rules ) で定義します。それは Situs Routing Strategies ダイアログから直接、アクセスできます。 

Basics
Altium Designer のルールシステムは階層です。その考え方は、全てのオブジェクトに対してデフォルトルールを使用すると言うことです。それから、別の条件が必要なその他のオブジェクトを選択するためにルールを追加します。例えば、ボードで使用した共通の配線幅をカバーする routing width のデフォルトルールを使用します。それから、他のネット、ネットクラス等を選択するためにその次のルールを追加します。

最も重要なルールは Width や Clearance ルールです。これらの設定は、配線をどれぐらいきつく '詰める' ことができるか定義します。これらは、釣り合いを保つプロセス(トラックを幅広くクリアランスを大きくするとボードを製造するために容易になります。逆に、トラックやクリアランスをより狭くするとボードを配線するために容易になります)です。配線幅やクリアランスによる 'コスト' については製造メーカと相談することが賢明です。このようにすることで、より低い製造コストでより高い PCB を販売できます。デザインの電気的な条件を満たすのと同様に、配線技術をコンポーネントに合うように(各ピンに配線できるように)選択すべきです。  
配線技術の1つである3つ目のルールは Routing Via Style です。hole size や annular ring の製造コストを考慮して、使用するトラックやクリアランスに合うように選択すべきです。  
過度の、または不必要なルール(多数のルール)を避けるべきです。配線処理に時間がかかり、配線が遅くなります。自動配線で必要でない場合、ルールを無効にできます。 

Routing Width

All のクエリ(デフォルトルール)で設定されている Routing Width ルールがあることを確認します。Preferred 設定は多くの共通の配線幅に適用します。適切なクリアランスルールの組み合わせで全てのパッドへ配線できます。より幅広い、またはより狭い配線が必要なネット用の routing width ルールを追加し設定します。 
幅広い配線幅のネット(例えば、Power ネット)上にファインピッチのコンポーネントがある場合、power ピンからテスト配線します。また、これらのピンを配線するために物理的に可能であることを確認してどちらかの側のピンを配線します。 

Clearance Constraint

標準のボードクリアランスより細かいファインピッチコンポーネントのパッドのような特定のクリアランスをチェックします。これらは、図のように適切にスコープした優先したデザインルールを使用します。フットプリントをターゲットにするルールを定義する時、そのフットプリントへ接続する配線をターゲットにしないことに注意してください。Routing Width の項目で説明した通り、コンポーネントピンが配線できるようにテスト配線します。 

Routing Via Style

All のクエリを含み preferred 設定が適切な Routing Via Style ルールがあることを確認します。別の via style を必要とするネットのために、デフォルトルールより優先度の高いルールを追加します。 
Altium Designer では、ブラインドやベリードビアをサポートします。これらを使用する時、Layer Stack Manager ダイアログ ( Design » Layer Stack Manager ) で設定したドリルペアで決まります。インタラクティブ配線のようにオートルータが2レイヤ間で切り換わる時、現在のドリルペア定義(もし、これらのレイヤがペアとして定義され、開始、終了レイヤとしてこれらのレイヤがビアに含まれる場合)をチェックします。ブラインド/ベリードビアの制限があることを理解することは重要です。製造メーカと相談して使用する必要があります。製造スタックアップの技術で強いられた制限と同様に、信頼性等の問題もあります。設計者は、ブラインド/ベリードビアを使用するより多くの配線レイヤを追加する方がより良いと考えます。 

Routing Layers

All のクエリがある Routing Layers ルールがあることを確認します。全ての有効な信号層(レイヤスタックで定義した)がリスト表示されます。必要に応じて、配線を許可したいレイヤを有効にします。特定のレイヤのみに配線したいネット用に優先度が高いルールを含めます。 
オートルータによる配線について特定のネット(または、ネットのクラス)を除外したい場合、ルールの Constraints の項目で、そのネット、またはネットクラスをターゲットにしている Routing Layer ルールを定義します。信号層の Allow Routing オプションは無効であることを確認します。ルールの優先度は、デフォルトルール(All のクエリのルール)より高くする必要があります。

Layer Directions

レイヤ配線方向は、Situs Routing Strategies ダイアログからアクセスする Layer Directions ダイアログで指定します。全ての有効な信号層(レイヤスタックで定義した)がリスト表示されます。接続線の流れに合うように適切なレイヤ方向を選択します。Situs は配線経路を定義するためにトポロジカルマッピングを使用します。そのため、強制的に水平、垂直に配線されません。一般的に、水平、垂直方向は外側のレイヤを使用するのがベストです。もし、'2 O'clock' 角度で多数、接続するマルチレイヤボードの場合、preferred 配線方向としてこれを行うために1つ、または複数の内層を設定します。特に、Layer Patterns はこの情報を使用し、正しい方向を選択することで配線時間や質が変わってきます。angled レイヤを使用する時、angled レイヤで障害を回避する必要がある場合、ルータは一般的に水平、または垂直に配線するので、90度で実行している組のレイヤをこのレイヤへ用意する必要は無いことに注意してください。 
Any 方向の使用を避けます - 接続を配線するために選択するレイヤは、どれぐらい密接に接続をレイヤ方向に整列させるかに基づきます。そのため、このレイヤは最後の手段のレイヤになります。Any 方向は一般的に片面基板のみに使用します。 

Routing Priority

配線が厳しいネット、または最もきれいに配線したいネットの優先度を設定するには、Routing Priority ルールを使用します。 

SMD Fanout Control

クエリシステムは、特に IsLCC (Leadless Chip Carrier)、IsSOIC (Small Outline IC)、IsBGA (Ball Grid Array)、IsSMSIP (Surface Mount Single In-line Package) を含む表面実装部品をターゲットにするキーワードを含みます。デフォルトルールは、共通のパッケージのために自動で作成されます。fanout パスは自動配線プロセスの初期に実行されるので、どんなコンポーネントにも適用しないルールがあります。ボード上に表面実装部品がある場合、少なくとも1つの SMD fanout コントロールデザインルールが必要です。全ての表面実装部品をターゲットにするクエリは IsSMTComponent です。コンポーネントパッケージを識別する各クエリキーワードの詳細について確認するには、Query Helper を開き、キーワードを入力して F1 を押します。  
パッドを fanin、fanout、またはそれらの両方を行う場合、fanout ルールにコントロールする設定が含まれています。Fanout Control ルール属性を確認するには、ネットを割り当てていない表面実装部品上で Autoroute » Fanout » Component コマンドを実行できます。ボードで定義した配線技術でどのようにコンポーネントを fanout するかチェックするためにこれを使用するのと同様に、事前に fanout したフットプリントとしてライブラリに含めたいコンポーネントを fanout するためにそれを使用できます。PCB ワークスペースで fanout されたら、コンポーネントと fanout トラックとビアをライブラリへコピー、ペーストします。  

Rule Priorities

ルールの優先度は設計者が定義します。ルールの優先度は、オブジェクトが複数ルールでカバーされる時、どのルールを適用するか決めるために使用します。もし、優先度が正しく設定されていない場合、ルールは適用されません。 
例えば、InNet('VCC') のクエリのルールが All のクエリのルールより優先度が低い場合、All のルールは VCC ネットに適用されます。これを修正するには、PCB Rules and Constraints Editor ダイアログの Priorities ボタンを使用します。その優先度は、2つのルールスコープが重ならない(同じオブジェクトをターゲットにしない)時、重要でないことに注意してください。例えば、InNet('VCC')、または InNet('GND') の2つのルールスコープのどちらがより高い優先度を持つか重要ではありません。 

The Golden Rule

重要なステップは、オートルータを開始する前にデザインルールチェック(DRC) を実行することです。Autoroute » Setup、または Autoroute » All コマンドを使用している時、Situs は pre-routing 解析を行い、Situs Routing Strategies ダイアログにレポートとして表示されます。レポートには以下の情報が含まれます:

  • オートルータに反映されるデザインルール(また、デザインオブジェクトの数 
    - ネット、コンポーネント、パッド
    - 各ルールによって影響を受けた)
  • 信号層に定義した配線方向 
  • ドリルペアの定義

    レポートには、ルータに影響を及ぼす問題がリスト表示されます。デザインで自動配線を行う時に手助けとなるヒントが表示されます。リスト表示されるエラー/ワーニング/ヒントを調査し、配線する前に配線ルールを調整すべきです。 
    オートルータを開始する前に、配線に関するルール違反を解決することが重要です。違反の場所で配線できなくなることを防ぐだけでなく、配線できない領域を配線しようとする時、ルータを遅くできます。 

ルータ実行のヒント

もし、結果が思い通りで無い場合、ルータの設定を変更します。intermediate cleanup や straighten passe を追加、密集した領域へルームを作成、レイヤ方向を変更します。ルータで試す時、パスの順番をコントロールするためのストラテジを作成、Viaコントロールでビア数を変更、配線レイヤ方向を変更、強制的にルータを直行させる等、試した組み合わせを確認します。デザインでベストな設定を確認、再利用できます。 
初めに、ファンアウトパスを実行し質を評価します。問題の領域は手動でファンアウトする必要があるかもしれません。 

配線パスと配線ストラテジの概要


定義した配線ストラテジは、Situs Routing Strategies ダイアログの下部にリスト表示されます。Situs Strategy Editor ダイアログ(ここから、新しいストラテジに含まれる経路を指定できます。)を表示するには Add ボタンをクリックします。 
以下の配線パスを利用できます。パスの順番を確認するために既存のストラテジを調査して、そのパスはどんな順番でも使用できます。 

Adjacent Memoryこれは、接続レベルの配線パスです。簡単な U パターンでファンアウトが必要な隣接した同じネットのピンを配線するために使用されます。 

Clean Pad Entriesこれは、接続レベルの配線パスです。パッドの最長の軸に沿って各パッドの中心から再配線します。 

Completionこれは、接続レベルの配線パスです。Main パスと同様で、異なる労力をかけることで配線が当たる箇所を解決したり、難しい接続を完了しようとします。異なる労力の例は、ビアを利用して簡単に配線したり不適切な配線で困難になることを含みます。 

Fan out Signalこれは、Fanout Control で定義したファンアウト設定に基づいたコンポーネントレベルのパスです。クリアランス、配線幅、ビア形状を考慮してパッドのパターンをチェックします。そして、デザインルールで定義した要求に合うように適切なファンアウトの配列(直線上に整列、staggered 等)を選択します。ファンアウトは信号層のみに反映されます。 

Fan out to Planeこれは、Fanout Control で定義したファンアウト設定に基づいたコンポーネントレベルのパスです。クリアランス、配線幅、ビア形状を考慮してパッドのパターンをチェックします。そして、デザインルールで定義した要求に合うように適切なファンアウトの配列(直線上に整列、staggered 等)を選択します。ファンアウトはインターナルプレーン層のみに反映されます。

Globally Optimized Mainこれは、接続レベルの配線パスです。配線を最適化します。最初に繰り返した接続/違反を無視します。それから、違反箇所が残らなくなるまで接続を再配線します。Orthogonal オプションを有効にしてこのパスで接続することで、細かく配線パターンを作成できます。mitered cornering のストラテジを適用するには Recorner パスを追加します。 

Hugこれは、各接続を再配線し最小クリアランスで既存の配線をたどる接続レベルの配線パスです。hug パスは配線領域を最大にするために使用します。このパスは非常に遅いことに注意してください。

Layer Patternsこれは、接続レベルの配線パスです。レイヤ方向(許容範囲内で)を一致させる接続を配線するのみです。hug に労力をかけるか、または領域を最大にするために既存の配線をたどります。

Mainこれは、接続レベルの配線パスです。それは、配線パスを見つけるためにトポロジカルマップを使用します。提案したパスを実際の配線へ変換するために push and shove ルータを使用します。 

Memoryこれは、接続レベルの配線パスです。X、または Y 座標を共有する同じレイヤ上にある異なるコンポーネントの2つのピンをチェックします。

Multilayer Mainこれは、接続レベルの配線パスです。Main パスと同様ですが、マルチレイヤボードで最適化に労力をかけます。

Recornerこれは、配線済みコーナーの mitering のために使用する接続レベルの配線パスです。このパスは、Orthogonal オプションが有効である時に使用されます(それを優先して各配線のコーナーを mitering します)。もし、Orthogonal オプションが無効の場合、オートルータがデフォルトでコーナーを miter する時、Recorner パスを含める必要はありません。

Spreadこれは、各接続を再配線する接続レベルの配線パスです。コンポーネントパッドのような固定したオブジェクト間を通過する時、配線領域を拡張しようとします。このパスは非常に遅いことに注意してください。 

Straightenこれは、コーナー数を減らすための接続レベルの配線パスです。コーナーまで配線に沿ってこれを行い、そのコーナーからネット上の他の配線箇所を検索して (horizontal/vertical/45up/45down) を確認します。もし、それが発見されると、この新しいパスが配線長を短くするかどうか確認するためにチェックします。

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