デザインルール違反表示の強化

Altium Designer Summer 09 では、オンラインとバッチ処理による DRC でチェックできる多くのデザインルールのカスタム違反表示を追加し、違反の扱いが改善されています。特定のルールに違反している場合、ワークスペースでより柔軟に表示されるようになりました。

カスタム違反表示

オンラインとバッチによるデザインルールチェック (DRC) にて、多くのデザインルールはカスタム違反表示と関連しています。特定のルールに対して違反が発生している場合に、ワークスペース内でそのエラーが表示されます。

多くの場合、違反を示す為のグラフィック (図) は同じです。例えば、Width や Minimum Annular Ring ルールに対する違反は、違反箇所の表示だけではなく、ルールで定義した値を表示し、違反しているプリミティブがルール値以下かルール値以上かを示します。

Width と Minimum Annular Ring ルール違反のカスタム表示です。
定義したルールに対して幅が違反であることをそれぞれのエラー箇所で同じ矢印記号を使用して表示しています。

Net Antennae、Short-Circuit、Room Definition、Layer Pairs そしてVias Under SMD ルールなどは、ルール値を定義するものではない為、エラー発生時には単にグラフィックが表示されるだけです。

カスタム違反表示の例です。左から、Net Antennae 違反、Short-Circuit 違反、Room Definition 違反、Layer Pairs 違反、Vias Under SMD 違反です。

View 設定 ダイアログ (デザイン»レイヤと表示色) の レイヤと表示色 タブ にあるシステム配色欄の DRC Detail Markers においてカスタム違反表示の色設定を行うことができます。詳しくは 違反表示色の定義 をご参照下さい。

 
カスタム違反表示を使用することで、DRC の状態をより明確に表示することができます。特定のデザインルールが違反の場合、関連したカスタム違反表示がそのレイヤ上で描画されます。

ワークスペース内で直接、直感的なグラフィック表示により違反のタイプや原因の識別を即座に行うことができます。緑色の違反ハイライトに相当する違反リストをブラウズして調べる必要がなくなります。DRC の表示強化により、効率的にデザインの違反を解消することができます。
 

違反の GDI 表示は、Altium Designer Winter 09 と Summer 09 間で変更はありません。カスタム違反表示を使用するには、DirectX 表示モードで作業していることをご確認ください。

以前の Altium Designer で保存された PCB ドキュメントを開く際、以前に DRC が実行され違反が存在する場合には、古い違反オブジェクトもエラー表示することができます。しかし、古い違反オブジェクトは、読み込まれないため、違反をリフレッシュする為にもファイルオープン後、Summer 09 で DRC チェックを行ってください。

改善された違反処理

Altium Designer Summer 09 では、ルール違反の処理は、'fresh lick of paint' として追加されました。ルール違反は、PCB Rules and Violations パネルで閲覧できます。PCB パネルの 'サブ-モード' をブラウズすることなく、ルールと違反情報を参照しながら、一つのパネル上でネットやコンポーネントを自由にブラウズできます。

PCB Rules and Violations パネルを使用することで違反情報を参照することができます。

違反、またはより明確な新しいカスタム違反表示は、ルール違反に含まれたレイヤ(違反プリミティブがあるレイヤ)上でのみ描画されます。特定の違反箇所をクリックすることで、その違反レイヤがワークスペース上でアクティブレイヤになります。(そのレイヤが表示されている必要があります)

PCB Rules and Violations パネル上で違反箇所をクリックすると関連するレイヤがアクティブレイヤになり、違反箇所にジャンプします。

Zoom ハイライトを有効にした場合、ワークスペースで違反プリミティブのみを表示するのではなく、違反領域を表示します。

同様に、Board Insight パネル (Shift+V) を使用してワークスペース上で直接違反をブラウズする際、カーソルが違反上にあって違反があるレイヤがアクティブレイヤの場合、パネルが表示されるのみです。

Board Insight パネルを使用して違反を参照できます。しかし、違反箇所のレイヤがアクティブになっている場合のみに限ります。

ワークスペースで違反のプリミティブ上にカーソルを置いて、関連した違反があるレイヤがアクティブであるか否かに関係なく、右クリックメニューから違反へアクセスできます。

DRC 違反表示の設定

カスタム違反表示に加えて、違反表示スタイルの設定と使用が可能です。DRC 違反表示スタイルは、旧バージョンの Altium Designer の表示方法と同様にプリミティブ上に表示されます。主な違いは、プリミティブ上に表示される違反表示スタイルのパターンを選択できるようになったことです。
 

カスタム違反表示で違反表示スタイルを使用する場合は、DirectX 表示を使用しているときのみに有効です。


DRC 違反表示を行う場合、カスタム違反表示の変わりに違反表示スタイルを使用することができます。

Violation Display プリファレンスへのアクセス

プリファレンス ダイアログの PCB Editor – DRC Violations Display ページ上で違反表示スタイルやDRC違反表示スタイルの選択を行う事ができます。

ワークスペース内で違反箇所の違反表示スタイルや DRC 違反表示スタイルを選択することができます。

違反表示スタイル (オーバレイ) の設定

違反表示スタイル を使用することで違反表示スタイル (オーバレイ) を設定できます。表1 は、トップレイヤ上の配線トラックに対して Width 違反に対する表示結果をそれぞれの違反表示すたいるで表示した結果です。

表 1. 違反表示スタイルの選択が可能

 

選択した設定

 

 

内容説明

 

 

表示結果

 

無し (レイヤ色)

デフォルトのレイヤ色のみが表示されたままで、DRC オーバーライドカラーは無視されます。

ソリッド (Override カラー)

DRC オーバーライドカラーがで塗り潰されます。

スタイル A

デフォルトレイヤ色も表示された状態で、割り当てられたDRC オーバーライドカラーは「 ! 」マークを使用して表示されます。

スタイル B

デフォルトレイヤ色も表示された状態で、割り当てられたDRC オーバーライドカラーは「 × 」マークを使用して表示されます。(このパターンがデフォルトで設定されています)

オーバーライドカラーは、ビュー設定 ダイアログ (デザイン»レイヤと表示色) の レイヤと表示色 タブを選択し、システム配色の DRC Error Markers にて選択できます。詳細は、違反表示色の定義 をご参照下さい。

ズーム動作

ズームイン、アウトする時、どのように違反表示形状を扱うか決めるためにダイアログでコントールできます。:

  • 違反オーバーレイ – ズームアウトする時、overlay を表示する方法を決めるには Overlay Zoom Out Behavior を使用してください。例えば、レイヤ色が目立たなくなるまで、より遠くにズームアウトした時に表示する override color を選択できます。またその逆も同じです。最も必要とする作業設定を見つけるためにそのオプションを使用してください。
  • カスタム違反グラフィック – カスタムグラフィックを使用して違反を表示する場合、違反したデザインルールのグラフィック表示を決めるために Show Violation Detail を使用してください。スライダーバーを Close 側に設定することで、'ズームイン' すると違反詳細を表示できます。逆に、ズームアウトしている時に詳細表示を維持するには、スライダーバーを Far 側に設定します。ズームレベルに関係なく表示した違反詳細を維持するには、スライダーバーを Always に設定します。

各ルールタイプのための違反表示スタイルの指定

ダイアログの Choose DRC Violations Display Style では、各ルールに基づいて、使用した表示スタイルを選択できるリストがあります。ルールタイプの Violation Details を有効にすることで、そのルールのDRC違反を表示するためのカスタム違反グラフィックを使用します。Violation Overlay を有効にすることで、指定したオーバーレイスタイルを使用して違反を表示します。

全てのルールタイプの違反表示タイプを有効、または無効に一括で設定するためのメニューを表示するには、リスト内で右クリックしてください。また、現在、デザインで使用されているルールのみの違反の表示(詳細グラフィック、または違反スタイル)をすばやく有効にすることもできます。
 

デフォルトでは、Violation Details 表示オプションは、全てのルールタイプで有効です。また、Violation Overlay 表示オプションは、Clearance, Width, Component Clearance ルールのみ有効です。


ワークスペースで DRC 違反を表示する方法を設定するには、コマンドやリストを使用してください。

2つの表示タイプを使用することで、'粗い' そして '細かい' 違反表示を行うために役に立ちます。ズームアウトする時、違反オーバーレイは違反がどこか示します。それから、カスタム違反グラフィックによって指定した詳細を表示するにはズームインします。
 

各ルールの Violation Overlay オプションを有効、Violation Details オプションを無効にして、Altium Designer の以前のバージョンであった DRC 違反表示を行うことができます。

違反表示色の定義

ワークスペースでルール違反を表示している時に役立つ機能があり、2つの違反表示タイプ(違反詳細(カスタム違反グラフィック))と違反オーバーレイ)は、個々にシステム色が用意されています。これは、異なる明確な色を使用して、これらを区別できます。 色設定は、View Configurations ダイアログ(Design»Board Layers & Colors) で実行できます。:

  • Violation DetailsDRC Detail Markers システム色に割り当てられた色を使用してください。
  • Violation OverlayDRC Error Markers システム色に割り当てられた色を使用してください。

 

使用したい違反表示タイプのために、システム配色 の項目の 表示 オプションが有効であることを確認してください。そうでなければ、違反詳細、または違反オーバーレイは表示しません。

必要に応じて、2つの違反表示のために異なった色を指定、表示を有効/無効にしてください。

 

Translateion of 'Enhanced Display of DRC Violations' v.16, 07.07.2009

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