フレキシブル、リジッドフレキシブル基板設計
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リジッドフレキシブルとは何ですか?
名称が示す通り、フレキシブル基板はフレキシブル絶縁膜へプリントされた導体パターンです。リジッドフレキシブルは、上図のように、フレキシブル回路とリジッド回路が組み合わされた基板の名称です。この組み合わせは、フレキシブルとリジッド回路の利点を利用するために理想的です(リジッド回路は多くのコンポーネントを搭載でき、フレキシブル部分がリジッド部分同士を接続できます)。
フレキシブル回路のテクノロジーは、最初は space program のためにスペースや重さを節約するため開発されました。それらは、スペースや重さを節約する(携帯電話やタブレットのようなポータブルデバイスに理想的です)だけでなく、ワイヤを減らしてパッケージをよりシンプルにし、製品の信頼性を改善して(接続するためのハードウェアが減り、実装が改善されるため)コストを削減できます(製品全体の製造、実装コストとして考慮した時)。
フレキシブル回路は、通常、2 つの種類(static フレキシブル回路と dynamic フレキシブル回路)に分けられます。Static フレキシブル回路(use A とも呼ばれます)は、一般的に実装、service 中、最小限で折り曲げるようにするものです。Dynamic フレキシブル回路(use B とも呼ばれます)は、ディスクドライブヘッド、プリンタヘッド、ノートPCのヒンジ部分のように、頻繁に折り曲げるように設計されたものです。この区別は、材料の選択や、構造に影響を及ぼすため重要です。リジッドフレキシブルとして製造できるいくつかのレイヤスタックアップ設定(電気的、物理的、コストの利点を含む)があります。
リジッドフレキシブル設計
フレキシブル、またはリジッドフレキシブル回路の設計は、電気的機構的なプロセスが多く含まれています。PCB の設計は 3 次元設計プロセスですが、フレキシブル、またはリジッドフレキシブル設計に関して、3 次元の条件がより重要になります。何故かと言うと、リジッドフレキシブル基板は、製品の筐体の中で複数の面が接触する可能性があり、これが製品の実装プロセスで起こるためです。完成したボードの全ての個所が筐体内で適切に折りたたむことができるように、機構的なモックアップ(paper doll cut out とも言います)を作成することを推奨します。このプロセスは、機構的なハードウェア要素が含まれていて、できるだけ正確、現実的である必要があります。そして、実装時と実装が完成した段階で、注意して分析する必要があります。
フレキシブル回路の製造に使用する材料
フレキシブル回路は、フレキシブル基板の材料と銅箔を接着材、熱、圧力で積層したスタックアップから作成します。
最も一般的な基板は、polyimide(丈夫で曲げやすい熱硬化性のポリマー)です。フレキシブル回路の製造で使用する polyimide には、次のようなものがあります: Apical、Kapton、UPILEX、VTEC PI、Norton TH、Kaptrex。これらは、登録商標名(商標者が所有)であることに注意してください。
銅箔層は、一般的に巻かれ、銅箔が焼き戻される (RA) か、または銅箔を精製します。これらの銅箔は、金属の薄片で曲げやすく製造されます。それらには展伸粒度があり、折り曲げの寿命を最大限にするために dynamic フレキシブル回路で、これを正しい方向に合わせることが重要です。これは、roll に沿って dynamic フレキシブル回路の方向を合わせることで解決できます(金属の薄片が roll に巻かれるのと同様に回路が曲がる)。フレキシブル製造業者は、通常、製造パネルの準備中にこれを処理します。それは、設計者が面付け作業(フレキシブル回路設計の nesting と呼ばれます)する場合のみ重要になります。銅箔の金属の薄片は、一般的に感光層で覆われています。それから、導体やパッドをパターンにするために露光されてエッチングされます。
接着剤は一般的にアクリルで、構造上、最も柔らかい材料です。接着剤は、銅箔層へ到達するためにカバー層をカットして圧着されます。アクリル接着剤のCTE (coefficient of thermal expansion) は高いため、Z 軸が膨張する欠点があります。そして、湿気吸収度の割合が高いため湿気によるガスが発生します。その結果、破裂し、メッキ穴スルーホール領域で層間剥離が起こります。これでは樹脂は使用できません。そのため、代替えの接着剤や接着剤を使用しないプロセスを利用します。
フレキシブル回路の製造方法を簡略化した例。材料は熱と圧力で薄板状にされます。フレキシブルとリジッドフレキシブルのレイヤスタックアップ Types
フレキシブルとリジッドフレキシブル回路に利用できる標準のスタックアップ(Types と呼ばれます)がいくつかあります。これらは、以下のように要約されます。
Type 1 - 単層
1 つの導電層と、1 つ、または 2 つの polyimide(外側のカバー層)を含む片面フレキシブル配線。
- 2 つの絶縁層間、または片面覆われていない絶縁層に積層された 1 つの導電層。
- 片面、または両面にメッキ穴を作成できます。
- コンポーネントの穴はメッキされていません。
- コンポーネント、stiffeners、ピン、コネクタを使用できます。
- 適切な static、dynamic flex application。
Type 2 - 二重層
stiffeners 付き、または無し、メッキ穴スルーホール付きの 2 つの導電層を含む両面フレキシブルプリント配線。
- 間に絶縁層を含む(外部の層を覆うか、または exposed パッドを含められます)、2 つの導電層。
- メッキ穴スルーホールは、層間を接続できます。
- 覆われていない穴、または exposed パッドは、片面、または両面(ビアを両面でカバーできます)に作成できます。
- コンポーネント、stiffeners、ピン、コネクタを使用できます。
- 適切な static、dynamic flex application。
Type 3 - 多層
stiffeners 付き、または無し、メッキ穴スルーホール付きで、3 つ、またはそれ以上の導電層を含む多層フレキシブルプリント配線。
- 間にフレキシブル絶縁層を含む(外部の層を覆うか、または exposed パッドを含められます)、3 つ、またはそれ以上のフレキシブル導電層。
- メッキ穴スルーホールは、層間を接続できます。
- 覆われていない穴、または exposed パッドは、片面、または両面に作成できます。
- ビアは、ブライド、またはベリードビアにできます。
- コンポーネント、stiffeners、ピン、コネクタを使用できます。
- 一般的に、static flex application を使用します。
Type 4 - 多層リジッドフレキシブル
メッキ穴スルーホール付きで、3 つ、またはそれ以上の導電層を含む多層リジッドとフレキシブルの組み合わせ(リジッドフレキシブル)。リジッドフレキシブルは、リジッド層に導体があります(stiffeners を含む多層回路からそれを区別します)。
- フレキシブル、またはリジッド絶縁材料を含む(外部の層を覆うか、または exposed パッドを含められます)、2 つ、またはそれ以上の導電層。
- メッキ穴スルーホールは、リジッド、フレキシブル層から(ブラインド、ベリードビアを除く)反映されています。
- 覆われていない穴、または exposed パッドは、片面、または両面に作成できます。
- ビア、または interconnect は、絶縁するために覆うことができます。
- コンポーネント、stiffeners、ピン、コネクタ、ヒートシンク、実装ブラケットを使用できます。
Altium Designer でリジッドフレキシブルに対応する方法
Altium Designer の PCB エディタは層になった設計環境で、信号層 32 層、プレーン層 16 層用意されています。これらの銅箔レイヤは、絶縁層によって分割されます。従来のリジッドPCB で、これらの絶縁層は一般的に FR4 やプリプレグを使用して作成されますが、様々な要求に合う特性を持つ多くの材料を利用できます。従来のリジッド PCB について、これらの銅箔や絶縁層は PCB 全体に存在します。そのため、ボード領域全体に 1 つのレイヤスタックを定義できます。
リジッドフレキシブル デザインは、回路デザイン全体で同じ層構成ではありません。ボードのリジッド部分は、フレキシブル部分と異なる層構成になります。また、リジッドフレキシブル デザインは、フレキシブル部分で接合されたリジッド部分があります。それから、これらの部分で、異なる層構成を使用しているかもしれません。1 つのレイヤスタックでは、この設計要件に対応できません。これに対応するために、Altium Designer のレイヤスタック管理システムが改善され、下図のように複数のレイヤスタックを定義できます。
複数のレイヤスタックを定義できるレイヤスタックマネージャ。複数のレイヤスタック
Main article: PCB Layer Stack Management
ボードデザインの異なる領域に異なる層構成を定義する必要がある場合に対応するために、Altium Designer では複数のレイヤスタックを定義できます。これは、全体のマスターのレイヤスタックを設定(このデザインで基板設計者が利用できる全体のレイヤ構成を定義)して定義できます。このマスターのレイヤスタックから、それらのレイヤを使用していくつでもサブスタックを定義できます。各サブスタックを定義し、その名称を設定します。これで、リジッドフレキシブル デザインで使用する準備ができました。
ボードシェープ
Main Articles: Creating and Modifying the Board Shape, Defining Board Regions and Bending Lines
レイヤスタックは、縦方向、または Z 平面のボードデザイン領域を定義します。Altium Designer で、ボード領域は Board Shape によって X と Y 平面に定義されます。ボードシェープは、任意の角度で配置された直線、または曲線の縁(任意の形状のカットアウト(内部の穴)も含めることができます)を含む多角形の領域です。ボードシェープは、Altium Designer の PCB エディタの基本的な概念です。これは、デザインで利用できる領域(コンポーネントを配置したり配線できる場所)を定義します。そして、デザインルールチェック、またはオートルータのような Altium Designer の解析エンジンは、ボードシェープの境界に作用します。
回路デザインで、リジッドフレキシブルを含む 1 つのボードシェープがあることに注意してください。このボードシェープ内で、ボードを個別の領域へ分割するために Split Lines を配置して、ボード領域を定義できます。下図は、2 つの青色の Split Lines を横に配置して、3 つの領域へ分割したボードシェープを示します。ボードを複数の領域へ分割する詳細な方法については、上のリンクを参照してください。
青色の点線の Split lines を横に配置して、3 つの個別の領域へ分割したボードシェープ。レイヤスタックをボードの領域へ割り当て
Main Article: Defining Board Regions and Bending Lines
上記で述べた通り、従来のリジッド PCB では銅箔と絶縁層が PCB に存在します。そのため、1 つのレイヤスタックをボードシェープに定義できます。リジッドとフレキシブル領域から成るリジッドフレキシブル デザインでは、各領域に異なるレイヤスタックが必要です。Altium Designer では、これに対応するためにレイヤサブスタックをボードシェープの特定の領域へ割り当てる機能があります。これを行うには、領域をダブルクリックし Board Region ダイアログを開きます。それから、下図のようにドロップダウンで Layer stack を選択します。
領域をダブルクリックして Board Region ダイアログを開き、レイヤスタックを割り当て。フレキシブル折り曲げラインの配置と管理
Main article: Defining Board Regions and Bending Lines
領域にレイヤスタックが割り当てられていて、そのスタックの Flex オプションが有効な場合、折り曲げラインをその領域へ配置できます。各折り曲げラインには、Radius、Bend Angle、Affected Area Width 属性があり、折りたたんだ状態で表示できます。
リジッドフレキシブルボードへ 2 つの折り曲げラインを定義し、折りたたんだ状態で表示。デザインの考慮
更に話し合うための重要なものは以下です...
- 導体配線 - コーナー
- パッド形状と領域 - 片面フレキシブルのフィレット、ラビットアンテナ(anchoring spurs)
- カバー層 - avoid stress risers (exposing the incoming track), reduce opening in coverlayer 250um
- プレーン
- Staggered length - bookbinding
- service loops
- 銅箔の保護
- 面付け - 材料の性質を考慮した、フレキシブル領域の方向の重要性
- 引裂き抵抗 - 曲がったコーナー、コーナーにある穴、スリット穴、コーナーにある金属
- フレキシブル領域で - 貫通穴を避ける、90度で配線、両面基板で千鳥に配線(放射を避ける)、フレキを直角に曲げられる材質、最大に曲げられる半径、最小の曲げ円弧(曲げの総角度)、折り曲げ領域から配線を拡張(特に、折り曲げたままにする箇所に重要)
- static bend 率は、基板の厚みに対する折り曲げ半径の割合です。理想的に言えば、多層基板は少なくとも 20:1 の折り曲げ率があるべきです。両面基板では、最小限の割合は少なくとも 10:1 になるべきです。また、単層基板では、最小限の割合は少なくとも 10:1 になるべきです。
- メッキ穴の銅箔は、フレキシブル回路に適しません。
資料と図面要件
更に話し合う(承認する)ために....
一般的に必要な資料は以下です:
- Flex PCB は、クラス(ここでの要件)標準である IPC-6013 に基づいて作成します。
- Flex PCB は、最小限の可燃性の割合 V-0 を満たすよう構築します(必要な場合)。
- Flex PCB は、RoHS 対応です(必要な場合)。
- リジッド材料は、IPC-4101/24 で GFN になります(エポキシ樹脂を使用している場合)。
- リジッド材料は、IPC-4101/40 で GIN になります(polyimide を使用している場合)。
- フレキシブルな銅箔で覆われた材料は、IPC 4204/11(フレキシブルで粘着性が無い銅箔で覆われた絶縁材料)になります。
- カバーコートの材料は、IPC 4203/1 になります。
- 最大の基板厚は、(ここでの要件を)超えてはいけません。そして、それは積層、メッキ処理後に適用します。これは、完成したメッキ表面で測定されます。
- パネルのリジッド部からのアクリル接着剤の厚みは、全体の構造の 10 % を超えてはいけません。上部のコメントをご覧ください。
- ポーチの材料は容易に製造するために使用でき、輸送前にボードのフレキシブル部分から外す必要があります。
- フレキシブル部の厚みはここでの要件になり、この厚みが重要でない場合、この注釈は追加しないでください。
- スルーホールの最小銅箔厚を、(ここでの要件の)最小アニュラリング .002(推奨)で平均.001”(推奨)になるようにします。
- リジッド部分の両面にある銅箔上に、緑色の LPI ソルダーマスク(必要な場合)を適用します。露出された金属部は、要件に従った表面になります。
- 両面のシルクには(必要な場合)、白色、または黄色(最も一般的)の伝導性の無いエポキシインクを使用します。
- 判定要件。
- 電気的なテスト要件。
- 梱包、発送要件。
- インピーダンス要件?
追加図面の詳細
更に話し合う必要があるものは以下です....
- 穴サイズ、許容差、スルーホール、ノンスルーホールの詳細が記載されたドリルテーブル。
- 参照データ、限界寸法、リジッド部とフレキシブル部の境界、折り曲げ箇所、方向表示を含む寸法図面。
- 必要な場合、面付けの詳細。
- 各層に使用した材料、厚み、銅箔の重さ等の構造や層の詳細。
参照
Joe Fjelstad, Flexible Circuit Technology
http://flexiblecircuittechnology.com/flex4/
Minco Products Inc - Flex Circuits Design Guide
http://www.minco.com/~/media/WWW/Resource%20Library/Flex/Minco_FullFlexDesignGuide.ashx
Minco Products Inc
http://machinedesign.com/archive/staying-flexible - Mark Finstad, Applications Engineer
http://machinedesign.com/archive/basics-flex-circuit-design