PCB設計入門

このチュートリアルでは、回路図を作成するための方法、PCBドキュメントにデザイン情報を更新する方法、PCB配線の製造用出力ファイルを作成する方法について概要を説明します。 また、プロジェクトや統合ライブラリの概念についても説明し、3D PCB環境を概観します。

Tutorial TU0117 (v2.3) May 21, 2008

統一エレクトロニクス製品開発環境Altium Designerの世界へようこそ。 このチュートリアルでは、非安定マルチバイブレータのデザインを例にPCBプロジェクトを作成してみます。
Altium Designerを使い始めたばかりでしたら、GU0112 ようこそAltium Designer の開発環境へ GU0112%20Welcome%20to%20the%20Altium%20Designer%20Environment.PDF を参照してください。インターフェースの説明、パネルの使用方法やデザインドキュメントの管理方法について記載されています。

新規PCBプロジェクトの作成

Altium Designerのプロジェクトは、デザインに関連するすべてのドキュメントと設定へのリンクで構成されています。 プロジェクトファイル(例えば、xxx.PrjPCB は、ASCIIテキストファイルで、プロジェクト内の、どのドキュメントが関連する出力設定、印刷やCAMなのか、をリスト表示しています。 プロジェクトに関連付けられていないドキュメントは ''フリードキュメント' と呼びます。 PCB、FPGA、組込み (VHDL) パッケージやライブラリパッケージなど、回路図シートや対象とするアウトプットへのリンクは、プロジェクトに追加されます。 プロジェクトをコンパイルするとデザインを検証し、ファイル間の同期を取り、比較を行うことができます。 例えば、オリジナルの回路図やPCBなどを変更すると、プロジェクトのコンパイル時に更新されます。

プロジェクトの新規作成プロセスは、すべてのプロジェクトタイプで同じです。 ここではPCBプロジェクトの例で説明します。 まずプロジェクトファイルを作成し、次に空の回路図シートを作成して空のプロジェクトを新しく追加します。 このチュートリアルの後半では空のPCBを作成し、同様にプロジェクトに追加します。

チュートリアルを開始するには、新規PCBプロジェクトを作成します:

1.メニューからFile » New » Project » PCB Project を選択するか、FilesパネルのNewの項目でBlank Project (PCB)をクリックします。 このパネルが表示されない場合、Files を、メインデザインウィンドウのの右下にあるSystem ボタンから選びます。
あるいは、Altium Designer Home Page (View » Home) のPick a Task の項目のPrinted Circuit Board Designを選択してからNew Blank PCB Projectをクリックします。
2. Projectsパネルが表示されます()。 パネルには新しいプロジェクトファイルであるPCB Project1.PrjPCBが表示されますが、ドキュメントは追加されません。
3. File » Save Project Asを選択して、新規のプロジェクトファイル(拡張子.PrjEmb)の名称を変更します。 プロジェクトを保存するハードディスク上のディレクトリに移動し、File Nameフィールドでファイル名Multivibrator.PrjPCBを入力してSaveをクリックします。
次に、空のプロジェクトファイルに追加する回路図を作成します。 ここでは、非安定マルチバイブレータの回路図を作成します。

新規回路図シートの作成

新規の回路図シートを作成するには、次のステップを実行します:
1. File » New » Schematicを選択するか、FilesパネルのNewセクションでSchematic Sheetをクリックします。 デザインウィンドウに、Sheet1.SchDocというブランクの回路図シートが表示され、回路図ドキュメントは自動でプロジェクトに追加(リンク)されます。 回路図シートは、Projectsタブ内でプロジェクト名の下のSource Documentsフォルダ内にリストされます。

2. File » Save As を選択して、新規の回路図ファイル(拡張子.SchDoc)の名称を変更します。 プロジェクトを保存するハードディスク上のディレクトリに移動し、File Nameフィールドでファイル名Multivibrator.PrjPCBを入力してSaveをクリックします。
空の回路図シートを開くと、ワークスペースが切り替わったことがわかります。 メインツールバーには新しいボタンが追加され、新しいツールバーが表示されてメニューバーに新しいアイテムが加わり、Sheet パネルが表示されます。 これが回路図エディタです。
このワークスペースはさまざまにカスタマイズすることができます。 例えば、パネルやツールバーの位置を変更したり、メニューやツールバーのコマンドをカスタマイズしたりすることができます。
これでプロジェクトに空の回路図を追加できたので、回路の作成に移ります。

プロジェクトへ回路図シートを追加

プロジェクトファイルに追加したい回路図シートがフリードキュメントとして開いている場合は、Projectsパネルでプロジェクト名を右クリックし、Add Existing to Projectを選択します。 フリードキュメント名を選択し、Openをクリックします。 あるいは、Projects パネルのプロジェクトドキュメントリストの中に、フリードキュメントをドラッグ&ドロップします。 回路図シートは、Projects タブでプロジェクト名の下のSource Documentsの下にリストされ、プロジェクトファイルにリンクされます。

回路図オプションの設定

回路を作図する前に、適切なドキュメントオプションを設定します。 以下の手順で設定します。
Altium DesignerではUndo (元に戻す)機能が複数回使えるので、直前の操作を何度でもやり直せます。 Undoの最大回数は、お使いのPCのメモリが許す限り、ユーザが自由に設定できます。
1.メニューからDesign » Document Optionsを選択すると、Document Optionsダイアログが表示されます。 このチュートリアルのこの場面で必要な変更は、シートサイズを標準のA4の大きさに設定することだけです。 Sheet OptionsタブのStandard Stylesフィールドで設定します。 エントリの隣にある矢印をクリックすると、シートスタイルが表示されます。
2. A4を選択、OKボタンをクリックすると、ダイアログが閉じてシートサイズが更新されます。
3.ドキュメント全体を再表示するためにView » Fit Document を選択します。
Altium Designerでは、メニューホットキー(メニュー名の下線が引かれた文字)を押すとそのメニューが表示されます。 また、いくつかのサブメニューにも、項目をすぐに実行できるホットキーが割り当てられています。 例えば、View » Fit Documentを選択するショートカットは、Vキーを押し、続いてDキーを押します。 多くの場合、Edit » DeSelectのようなサブメニューは直接呼び出すことができます。 Edit » DeSelect » All on Current Documentメニューを実行するには、Xキーを押してDeSelectメニューを直接呼び出し、続いてSキーを押します。

回路図シートはドキュメントのテンプレート(.schdot) として保存できるので、会社のタイトルブロックやロゴなど、固有の情報を含めることができます。次に、回路図の環境設定を行います。
1. Tools » Schematic Preferences[ショートカットT, P]を選択し、 回路図Preferencesダイアログを開きます このダイアログでは、作業する回路図シートすべてに適用するグローバル環境を設定します。
2.セレクションツリー(ダイアログの左側)のSchematic - Default Primitivesをクリックしてページをアクティブにし、Permanentオプションを有効にします。 OKボタンをクリックし、ダイアログを閉じます。
3.回路の作成を始める前に、File » Save [ショートカットF, S]を選択して、この回路図シートを保存します。

回路図の作成

これで回路図を作成する準備ができました。 このチュートリアルでは以下(図 1)の回路を使用します。 ここでは、2個の2N3904トランジスタを使用した自動起動型の非安定マルチバイブレータ回路を作成します。


図1 非安定マルチバイブレータ

コンポーネント(部品)の検索とライブラリの読出し

Altium Designerに数多く用意されている回路図シンボルを管理するため、回路図エディタは高度なライブラリ検索機能を提供しています。 必要とするコンポーネントは、デフォルトで登録されているライブラリ内にありますが、コンポーネントを見つけるためにライブラリを検索する方法を知ることは重要です。

以下の手順を実行して、このチュートリアルの回路を作成するために必要なライブラリの検索と登録を行います。
まずトランジスタを検索します。使用するトランジスタはどちらも2N3904です。
1. Libraries タブをクリックすると、Librariesパネルが表示されます。
2. LibrariesパネルのSearchボタンを押すか、Tools » Find Componenを選択すると、 Libraries Searchダイアログが表示されます。
3. OptionsにあるSearch in ドロップダウンが Componentsになっていることを確認してください。 ライブラリの検索には、別の規範を使う他のオプションもあります。

4. ScopeLibraries on Pathに設定されていること、そしてPathフィールドには使用するライブラリへのパスが正しく入力されていることを確認します。 Altium Designerのインストール時ににデフォルトディレクトリを指定した場合、ライブラリへのパスは、Libraryになります。 必要なら、フォルダアイコンをクリックし、ライブラリフォルダを確認します。 Include Subdirectoriesボックスが選択されていない(チェックが入っていない)ことを確認します。
5.部品の名前に3904という文字がある部品をすべて検索してみます。 まず、Libraries Search ダイアログの上部のクエリ入力欄に*3904* と入力します。 *(アスタリスク)は、メーカーごとに異なる接頭辞や接尾辞が挿入されていることを考慮して使用するワイルドカードです。
6. Searchボタンをクリックして、検索を開始します。 検索が始まると、結果がLibrariesパネルに表示されます。
7. Miscellaneous Devices.IntLibライブラリで見つかったコンポーネント名2N3904をクリックして選択します このライブラリは、シミュレーションで使用可能なすべてのBJTトランジスタ用のシンボルがあります。
8.まだインストールされていないライブラリに属するコンポーネントを選んだ場合は、コンポーネントを回路図に配置する前にライブラリを確認するように求められます。 ここで必要なMiscellaneous Devices.IntLibライブラリはデフォルトで既にインストールされているので、コンポーネントは直ぐに配置することができます。
追加したライブラリは、Librariesパネルのドロップダウンリストの中に表示されるようになります。 上側のリスト内のライブラリ名をクリックすると、ライブラリ中のコンポーネントが下側に表示されます。 パネルのコンポーネントフィルタは、ライブラリ内のコンポーネントを素早く探すのに使えます。

回路図へのコンポーネントの配置

最初に回路図へ配置するコンポーネントは、2個のトランジスタ、Q1とQ2です。 回路の一般的なレイアウトに関しては、図1に示した回路図を参照してください。
1. View » Fit Document [ショートカット: V, D]を選択し、回路図シートをウィンドウいっぱいに広げます。
2. Librariesタブをクリックして、Librariesパネルを表示させます。
3.Q1とQ2はBJTトランジスタです。Miscellaneous Devices.IntLibライブラリをアクティブにするため、Librariesパネル上部のドロップダウンリストから選択してください。
4.必要に応じてフィルタを使うと、コンポーネントが素早く探せます。 デフォルトのワイルドカード は、ライブラリ内で見つかるすべてのコンポーネントを表示します。 ライブラリ名の下のフィルタフィールドに 3904 と入力して、フィルタを設定します。 Component Nameフィールドの一部にテキスト "3904" を含むコンポーネントのリストが表示されます。
5.リストの 2N3904をクリックで選択し、Placeボタンをクリックします。 あるいは、コンポーネント名をダブルクリックします。 カーソルが十字形に変わり、配置のため自由に動かせるトランジスタのシルエットがカーソルの上に浮かびます。 今は、部品の配置モードになっています。 カーソルを動かすにつれてトランジスタのシルエットも一緒に動きます。
6.回路図に部品を配置する前に、まず、その属性を編集します。 トランジスタがカーソルの上に浮いている状態で、TAB キーを押します。 この操作でComponent Propertiesダイアログ が開きます。 下記のようなダイアログでオプションを設定します。

回路図コンポーネントとPCBコンポーネントのリンクがフットプリントです。 回路図用のフットプリントは、ネットリストを読込んだときにPCBライブラリから読込まれます。 回路図コンポーネントをダブルクリックすると、フットプリントが指定されます。7.ダイアログのPropertiesで、最初のコンポーネント識別子の値をDesignatorフィールドにQ1と入力して設定します。

8.次に、フットプリントを確認します。フットプリントは、PCB上のコンポーネントを表すために使われます。 このチュートリアルでは、フットプリント用と回路シミュレーション用の推奨モデルが既に含まれている統合ライブラリを使用します。 フットプリントの名前を確認してください。 
TO-92A -92Aが Models リストに含まれています。 すべてのフィールドをデフォルトのままに残して OK をクリックし、ダイアログを閉じます。

これで部品を配置する準備ができました。

1.カーソルを動かして(トランジスタのシンボルと一緒に)、トランジスタをシートの中央からやや左に配置します。 トランジスタを配置する場所を決めたら、ENTERをクリックして回路図にトランジスタを配置してください。
編集モードや配置モードのとき(十字カーソルのとき)は、ドキュメントウィンドウの端にカーソルを移動させて、シートを自動的にスライドさせることができます。
スライドさせすぎたときは、ショートカット V, F(View » Fit All Objects ) を選択すると、回路図の全体表示に戻ります。 この操作はオブジェクトの配置中にも行えます。
2.カーソルを動かすと、トランジスタのコピーが回路図に配置されていることが分かります。まだ、部品の配置モードが続いていて、カーソルの横には部品のシルエットが浮かんでいます。 このAltium Designerの機能により、同じタイプの部品を何個でも配置することができます。 さて、二つ目のトランジスタを配置してみましょう。 このトランジスタは一つ目のものと同じものなので、配置の前に属性を編集する必要はありません Altium Designerは一連の部品を配置する際、自動的にコンポーネントの識別子を増分させています。 このケースでは、二つ目のトランジスタに自動的にQ2が指定されます。
以下のキーを使って、部品のシルエットを操作できます。

  • Y 垂直方向に反転します
  • X 水平方向に反転します
  • スペースバー 90度刻みで反時計回りに回転します

3.回路図ダイアグラム(図 1)を参照すると、Q2はQ1に対して鏡面反転になっていることが分かります。 トランジスタの方向を反転させるため、カーソルの上に浮いている状態で X キーを押します。 この操作はコンポーネントを水平方向に反転させます。
4.カーソルをQ1の右のほうへ移動させます。 コンポーネントをより正確に配置するには、PAGE UP キーを2回押して、2段階ズームさせてください。 グリッドラインが見えるはずです。
5.部品の位置を決めたら、クリックするか、ENTER を押して、Q2を配置します。 保持されているトランジスタのコピーは、再び回路図に配置できます。次のトランジスタがカーソルの上に浮かんでいて、配置されるのを待っています。
6.必要なトランジスタはすべて配置したので、マウスの右クリックか、ESCキーを押して部品の配置モードを抜けます。 カーソルは元の矢印に戻ります。

次に2つの抵抗を配置します。

回路図上に配置されたオブジェクトの属性を編集するには、オブジェクトをダブルクリックして、Component Propertiesダイアログを開きます。
1. Librariesパネルで、Miscellaneous Devices.IntLibライブラリがアクティブになっていることを確認します。
2.ライブラリ名の下のフィルタの項目にres1と入力しフィルタを設定します。
3.コンポーネントリストのRes1をクリックして選択し、Placeボタンをクリックします。 カーソル上に抵抗のシンボルが表示されます。
4. TABキーを押して、抵抗の属性を編集します。 ダイアログのPropertiesで、最初のコンポーネント識別子の値をDesignatorフィールドにR1と入力して設定します。
5.フットプリントの名前を確認してください。AXIAL-0.3が Models リストに含まれています。
6.回路図コンポーネントのComment フィールドの内容は、PCBコンポーネントのComment フィールドにマッピングされます。通常は、抵抗値をここで入力しておく方がよいでしょう。 R1のComment フィールドにR1100Kの値を入力します。
シミュレートされたコンポーネントには、定義可能なシミュレーション特性の番号が付けられています(例:抵抗なら1、BJTには5、MOSFET に3、など)。これらの特性は、パラメータで定義されています。 この回路をシミュレートしたい場合は、名が値を示し、値が抵抗であることを示すようなパラメータで抵抗値を定義しなくてはなりません。
シミュレーションとPCBレイアウトの両方のためにキャプチャされた回路には、2種類以上の値(Valueと呼ばれる値、およびCommentフィールド)を入力します。Altium Designer '間接的'にパラメータの文字をCommentフィールドにマッピングする機能をサポートしています。 クリックでCommentフィールドのドロップダウンリストを表示させると、ソフトウェアが自動的にすべての既存パラメータのリストを生成します。中のひとつの値をCommentフィールドにマッピングしてください。
7.ここでは、シミュレーションを実行しないので、Value パラメータ用のVisibleオプションを無効にしてください。
8. SPACEBAR を押して、抵抗を90度刻みで回転させ、正しい方向に向けます。
9.抵抗の位置をQ1の上に決めて(図 1の回路図参照)、クリックまたはENTERを押し、部品を配置します。 まだ、抵抗がトランジスタに接続していなくても構いません。 すべての部品は後で配線します。
10.次に、別の100K抵抗R2をQ2の上に配置します。 二番目の抵抗を配置すると、識別子が自動的に増分されます。
11.さらに残りの1K抵抗、R3とR4が残っています。TAB キーを押し、Component Propertiesダイアログを表示させます。Commentに1Kを入力し、Value パラメータ用のVisibleオプションを無効にしてください。 OKボタンをクリックし、ダイアログを閉じます。
12.位置を決めて、R3とR4を図 1の回路図ダイアグラムのとおりに配置します。 右クリックかESCを押して、部品の配置モードを抜けます。

次に2つのコンデンサを配置します。

オブジェクトの再配置は、カーソルを直接オブジェクトの上に置き、左マウスボタンでクリック、そのまま新しいポジションへドラッグしてボタンを離してください。
1.コンデンサの部品は、Librariesパネルで既に選択されているMiscellaneous Devices.IntLibライブラリにあります。
2. Librariesパネル内のコンポーネントのフィルタ欄にcapと入力します。
3.コンポーネントリストのCAPをクリックして選択し、Placeボタンをクリックします。 カーソル上にコンデンサのシンボルが表示されます。
4. TABキーを押して、コンデンサの属性を編集します。 Component Propertiesダイアログで、DesignatorをC1に、Commentを20nに設定します。Value パラメータ用のVisibleオプションを無効にして、ModelsリストのPCBフットプリントのモデルにRAD-0.3が選択されていることを確認します。 OKをクリックします。
抵抗と一緒に、この回路をシミュレーションしたい場合は、Value パラメータに20nの値が必要です。この場合、容量をValue パラメータに定義し、間接機能を使って、値の内容をCommentフィールドにマッピングしてください。 ここでは、シミュレーションを実行しないので、Value パラメータ用のVisibleオプションを無効にしてください。
5.1つ目と同じようにして、2つ目のコンデンサの位置を決め、配置してください。
6.右クリックかESCを押して、配置モードを抜けます。

配置を要する最後のコンポーネントはコネクタです。

これは、Miscellaneous Connectors.IntLibにあります。
1. Libraries パネルのライブラリリストからMiscellaneous Connectors.IntLibを選択します。 欲しいコネクタは、2ピンソケットなので、フィルタに*2*を設定します。
2.パーツリストからHeader 2を選択し、Place ボタンをクリックします。 TABキーを押して、属性を編集し、Designatorに Y1を設定、PCBフットプリントモデルがHDR1X2であることを確認します。 回路シミュレーション時にこのコンポーネントを電源と置き換えたい場合は、Value パラメータは不要です。 OKボタンをクリックし、ダイアログを閉じます。
3.コネクタを配置する前に、Xを押して水平方向に反転させ、正しい方向に向けます。 回路図上でコネクタをクリックして配置します。
4.右クリックかESCを押して、部品の配置モードを抜けます。
5.メニューからFile » Save [ショートカットF, S]を選択して、回路図を保存します。
回路図上の選択されたオブジェクトのグループは、矢印キーで再配置できます。 選択したオブジェクトの移動は、Document Options ダイアログ(Design » Board Options [ショートカット D, O])の現在の Snap Grid 設定に応じて設定されます。 このダイアログでスナップグリッド値を変更します。 このグリッド値は、Altium Designer のステータスバーにも表示されます。

Preferences ダイアログ (Tools » Schematic Preferencesを選択、または [ショートカットT, P])の回路図 - グリッドのページは、インチまたはセンチ単位でも設定できます。 スナップグリッド設定値を切り替えるには、ショートカット G を使用します。 あるいは、View » Gridsのサブメニューや右クリックメニューから Grids を選択します。
Ctrl キーを押しながら矢印キーを押すと、選択されたオブジェクトは、現在のスナップグリッド値に応じて少し移動します。
かなり大きな値(スナップグリッドの値がファクタ10など)で、選択したオブジェクトを、'ひと突きする' こともできます。 CTRL と SHIFT キーを同時に押しながら、矢印キーを使います。これですべてのコンポーネントを配置しました。 図 2 のコンポーネント間は余裕があり、各コンポーネントのピンを配線するには間隔が広く開いていることに注意してください。 これは実は重要なことです。なぜなら、ピンからピンへ、コンポーネントを横切って配線することはできないからです。 部品の両側のピンを配線に接続します。
コンポーネントを動かしたい場合は、コンポーネント本体をクリック、そのまま新しい位置へドラッグしてください。


図2 すべての部品が配置された回路図

回路の配線

配線や、その他の図形オブジェクトの形状をグラフィカルに編集するには、いったん配置した後、矢印カーソルでその図形を再度クリックします。
配線がコンポーネントの接続ポイントに到達したり、別の配線上で終了したりする場合、Altium Designerは自動的に接点を作成します。
配線の引き回しでは、以下の点に注意してください。

  • クリックするか、 ENTERキーを押して、カーソル位置に配線を固定します。
  • BACKSPACEを押すと、最後の固定ポイントが削除されます。
  • 配線の最後のセグメントを配置した後は、右クリックか、ESCキーを押すと、配線の引き回しが終了します。 - カーソルが十字形のままのときは、別の配線の引き回しを開始できます。
  • 再度右クリックするか、ESCを押すと、配線の引き回しモードを抜けます。

配線は、回路の様々なコンポーネント間の接続を作成する作業です。 回路の配線は図 1のダイアグラムのとおり、以下のようなステップで行います。
1.回路図シートがちゃんと見えるように、PAGE UPキーでズーム、またはPAGE DOWN キーでズームダウンさせます。 CTRLキーを押しながら、マウスホイールを動かしてみる、あるいは、マウスホイールを押したまま、マウスを上下に動かすと、ズームイン、ズームアウトの操作ができます。試してみてください。
2.最初に、抵抗R1をトランジスタQ1のベースに、次のようにして配線します。 Place » Line [ショートカット P, W]をメニュー から選択するか、Wire ツールを Wiring ツールバーからクリックして、ワイヤ配置モードに入ります。 カーソルが十字形に変わります。
3.カーソルをR1の下端の上に置きます。 正しく置くと、赤い接続マーカー(大きなアスタリスク)がカーソル位置に表示されます。 これは、カーソルがそのコンポーネントの信号接続ポイントの上にあることを示しています。
4.クリックするか、ENTERキーを押して、最初の配線ポイントを固定します。 カーソルを動かすと、カーソルの位置から固定したポイントへ、配線が伸びていきます。
5.R1の下側へカーソルを動かし、Q1のベースレベルに置きます。 クリックするか、ENTERキーを押して、このポイントに配線を固定します。 1つ目と2つ目の固定(アンカー)ポイント間に配線が引かれました。
6.Q1のベースの上にカーソルを置き、カーソルが赤い接続マーカーに変わるようにします。 クリックするか、ENTERキーを押して、Q1のベースに配線を接続します。
7.カーソルは十字形のままなので、このまま、別の配線を引くことができます。 配置モードを完全に抜け、矢印カーソルに戻るには、右クリックか、ENTERキーを押しますが、今はやめておきましょう。
8.次に、C1をQ1とR1に配線します。 カーソルをC1の左側の接続ポイントの上に置いて、クリックするか、ENTERキーを押し、新しい配線を開始します。 カーソルを水平に動かして、Q1のベースとR1を接続する配線の真上に来るようにします。 接続マーカーが表示されます。 クリックするか、ENTERキーを押して配線セグメントを配置します。次に右クリックするか、ESCキーを押して配線の引き回しを終わらせます。 2つの配線が自動的に接続される様子をご覧ください。
9.残りの回路を配線します。図 3をご覧ください。


図3 すべて配線された回路図

10.すべての配線の配置が終了したら、右クリックするかESCキーを押して、配置モードを抜けます。 カーソルが矢印に戻ります。
11.配置されたコンポーネントを動かして、接続された配線を一緒に引き直したい場合は、CTRLキーを押したまま、コンポーネントを動かしてください。あるいは、Move » Drag.を選択してください。

ネットとネットラベル

それぞれ他のコンポーネントに接続されたコンポーネントピンの各セットは、"ネット"と呼ばれるものを構成することになります。 たとえば、あるネットは、Q1のベース、R1のピンを1つ、C1のピンを1つ含んでいます。
設計図内にある重要なネットを容易に識別できるようにするため、"ネットラベル"を貼っておくことができます。 2つの電源ネットにネットラベルを貼るには、次のようにします。
1. Place » NetLabel [ショートカット P, N]を選択します。 点線ボックスがカーソルの上に浮かびます。
ピンの終端で交差する配線は、接点を削除しても、そのピンに接続されています。 先に進む前に、実際に作成した回路が、図 3のようになっていることを確認してください。2.配置する前にネットラベルを編集するには、TABキーを押してNet Label ダイアログを表示してください。
3. Netフィールドに12Vを入力し、OKをクリックしてダイアログを閉じます。
4.ネットラベルの左下が回路図の配線の少し上に触れるように、ネットラベルを動かします。 ネットラベルが配線に触れるところで、カーソルが赤い十字に変わります。 交差する線が明るい灰色になった場合は、ネットではなく、ピンにラベルが付きます。
5.最初のネットラベルを配置した直後は、まだネットラベルの配置モードのままです。もう一度TABキーを押すと、二つ目のネットラベルを配置前に編集できます。
6. NetフィールドにGNDを入力、OKをクリックしてダイアログを閉じ、ネットラベルを配置します。
7.ネットラベルの左下が回路図の配線の少し下に触れるように、ネットラベルを動かします。 右クリックか、ESCを押すと、ネットラベルの配置モードを抜けます。
8. File » Save [ショートカットF, S]を選択して回路を保存してください。 プロジェクトも同様にして保存します。

お疲れ様でした。 これで、Altium Designerを使った最初の回路図の作成が完了しました
回路図を基板に変換する前に、プロジェクトのオプションを設定しましょう。

プロジェクトオプションの設定

プロジェクトオプションには、エラーチェックのパラメータ、接続マトリクス、クラスジェネレーター、コンパレーター設定、ECO生成、出力パスとネットリストのオプション、Multi-Channelの命名フォーマット、Default Printの設定、Search Paths、その他のプロジェクトパラメータが含まれています。 Altium Designerはこれらの設定をユーザがプロジェクトをコンパイルする際に使用します。
プロジェクトがコンパイルされると、エレクトロニクス設計上の包括的なルールがデザインの検証に使用されます。 すべてのエラーが解決すると、再コンパイルされた回路図の設計がターゲットとなるドキュメント(たとえば、PCBドキュメントなど)にロードされます。 プロジェクトコンパレーターによって、ソースとターゲットのファイル間の差異や双方で更新された差分を発見することができます。

プロジェクトに関するすべての操作、たとえば、エラーチェック、ドキュメントの比較、ECO生成などは、Options for Project ダイアログで設定されます (Project » Project Options)。
プロジェクトの出力、たとえば、アセンブリや製造用の出力やレポートは、Fileメニューのオプションから設定できます。 ジョブオプションについても、ジョブオプションファイルで設定できます(File » New » Output Job File)。 詳細は、出力ドキュメントをご覧ください
1. Project » Project Optionsを選択します。 Options for ... Project ダイアログが開きます。
2.プロジェクトに関するオプションはこのダイアログで設定します。 ここでは、Error ReportingConnection MatrixComparatorタブでいくつか変更してみましょう。

回路図の電気的特性のチェック

Altium Designerにおける回路図ダイアグラムには、単純な描画以上の能力があります。つまり、回路についての電気的な接続情報が含まれています。 この接続情報を使うと、設計を検証することができます。 プロジェクトのコンパイル時に、Altium Designerは、Error ReportingConnection Matrix タブに設定されたルールに従って、エラーチェックを行います。また、違反事項はすべて Messages パネルに表示されます。

Error Reportingの設定

Options for ... ProjecダイアログのError Reporting タブは、デザイン作図のチェックに使用されます。 Report Mode の設定は、違反の深刻さのレベルを表しています。 設定を変える場合は、変更したい違反事項の隣でReport Modeをクリックし、深刻さのレベルをドロップダウンリストから選んでください。 このチュートリアルでは、デフォルトの設定を使用します。

接続マトリクスの設定

Connection Matrix タブ (Options for ... Project ダイアログ)は、ピン間、ポート間、シートエントリなど、デザイン内の電気的接続をチェックするエラーレポータが生成したエラータイプの深刻さを表示します。 マトリクスは、回路図上の接続ポイントと許容できるかどうかの異なるタイプをグラフィカルに表わしたものです。
たとえば、マトリクスダイアグラムの右側にあるエントリを下へたどって、Output Pinを見つけてください。 マトリクスのこの行をたどって、Open Collector Pinの列まで進みます。 交差したところの四角形はオレンジ色なので、回路図上でOpen Collector Pinに接続しているOutput Pinが、プロジェクトをコンパイルした際にErrorの状態になったことを示しています。
それぞれのエラータイプには、No Report(問題無し)から、Fatal Error(致命的エラー)まで、別々のエラーレベルが設定できます。 右クリックで、全マトリクスを制御するメニューオプションを見ることができます。

接続マトリクスの変更は次のとおりです。
1. Options for ... Projectダイアログの Connection Matrix タブをクリックします。
2. Output Sheet EntryOpen Collector Pinなど、二つの接続タイプが交差しているボックスをクリックします
3."オレンジ色のボックスは、この接続についてエラーが生成されたことを表します"など、説明にあるとおりのエラーの色に変わるまで、ボックスをクリックします。

このチュートリアルで使用する回路には、Passive Pins(抵抗、コンデンサ、コネクタ)とInput Pins(トランジスタ)しかありません。 接続マトリクスが未接続のパッシブピンを検出したかどうか、見てみましょう。
1.行のラベルを下へたどって、Passive Pinを見つけます 列のラベルをたどって、Unconnectedを見つけます passive pinunconnected(未接続)が検出された場合、二つのエントリが交差した四角形がエラー状態を表示します。 デフォルトは緑色の四角形で、レポートが生成されなかったこと(問題無し)を表します。
2.この交差ボックスを黄色に変わるまでクリックして、プロジェクトのコンパイル時、未接続のパッシブピンに対して警告が生成されるようにします。 ここで、わざとこのエラーを生成するインスタンスを作ってみましょう。後ほど、このチュートリアルで確認します。

コンパレーターの設定

Options for ... Project ダイアログのComparatorタブは、プロジェクトのコンパイル時に、ファイル間のどの相違をレポートし、あるいは無視するかを設定します。 このチュートリアルでは、階層的な回路図設計を参照するためだけに、機能間の相違を表示する必要はありません。 コンポーネントクラスを無視しなくてはならないときに、うっかりコンポーネントを無視したりしなうようにしてください。
1. Comparatorタブをクリックします。Changed Room DefinitionsExtra Room DefinitionsExtra Component Classesが、Differences Associated with Componentsのセクションにあります。
2.上記の各オプションの右側にあるMode の列のドロップダウンのリストから、Ignore Differencesを選択します。
これで、プロジェクトをコンパイルし、エラーを確認する準備ができました。

プロジェクトのコンパイル

プロジェクトのコンパイルでは、デザインドキュメントの描画や電気的なルールのエラーを確認し、デバッグ環境に切り替えます。 Options for ProjectダイアログのError CheckingConnection Matrixタブには、既にルールを設定しました。
1.作成中のMultivibratorプロジェクトをコンパイルするには、Project » CompileCompile PCB Project...を選択します。
2.プロジェクトがコンパイルされると、警告やエラーがMessagesパネルに表示されます。 パネルをクリックして、エラーをチェックします(View » Workspace Panels » System » Messages)。 コンパイルされたドキュメントは、平坦化された階層、コンポーネント、ネットリスト、接続モデルと一緒にNavigatorパネルに表示されます。

回路が正しく描かれていれば、Messages パネルにエラーは表示されません。 エラーがある場合は、回路を見直し、すべての配線や接続が正しいか確認してください。

さて、それでは今から、わざとエラーを回路に紛れ込ませ、プロジェクトをコンパイルしてみましょう。
1.デザインウィンドウのトップにあるMultivibrator.SchDocタブをクリックして、回路図シートをアクティブにします
2.R1とQ1のベースの配線の真中をクリックします。 小さな、四角形の編集ハンドルが配線の両端に表示され、対象が選択されたことを表す選択色が配線の周りに点線で表示されます。 DELETE キーを押して、配線を削除してください。
3.プロジェクトをコンパイル(Project » Compile PCB Project)して、エラーを確認してみましょう。
Messagesパネルが警告メッセージを表示し、接続されていないピンが回路中にあることを示します。 Messagesパネルが表示されない場合は、 View » Workspace Panels » System » Messagesを選択します。
4. Messagesパネルのエラーや警告をダブルクリックすると、Compile Errorウィンドウが違反の詳細を表示します。 このウィンドウでエラーをクリックすると、回路図内の違反のあるオブジェクトにジャンプし、エラーを確認、訂正することができます。

次のセクションへ進む前に、回路図のエラーを訂正しておきましょう。
Messagesパネルのメッセージをクリアにしておきたい場合は、右クリックして、Clear All を選択してください。
1.回路図シートのタブをクリックして、シートをアクティブにします。
2.メニューからをEdit » Undo [ショートカットCTRL + Z]を選択します。 先に削除した配線が元通りになりました。
3.元に戻ったことを確認し、プロジェクトを再コンパイル(Project » Compile PCB Project)します。 Messages パネルにはエラーが表示されません。
4.メニューから View » Fit All Objects [ショートカット: V, F]を選択して、表示を元通りにし、エラーのない回路図を保存します。
5.回路図、プロジェクトも同様に保存します。
これで、回路図は完成、チェックもしました。PCBを作成してみましょう。

新規PCBドキュメントの作成

回路図エディタからPCBエディタにデザインを送る前に、最低でも、基板の外形だけがある空のPCBを一つ作っておく必要があります。 Altium Designerでにおいて、最も簡単なやり方でPCBデザインを作るには、PCB Board Wizardを使用します。独自のカスタムボードサイズを作成するのと、同じように、業界標準の基板の外形を選ぶことができます。 Wizardでは、Backボタンでいつでも前頁のチェックや変更ができます。

PCB Wizardで新規PCBを生成するには、以下のステップに従ってください。
1.新規PCBを生成します。Filesパネルの下部にあるNew from TemplateセクションのPCB Board Wizardをクリックして、 このオプションが表示されていないときは、上向き矢印のアイコンをクリックして、上側にあるいくつかのセクションを閉じてください。

2. PCB Board Wizardが開き、紹介ページが表示されます。 Next をクリックして続けます。
3.測定単位をインチ表示( Imperial)またはミリメートルにします。なお、1mil = 0.0254mmです。
4.Wizardの三番目のページで、好きな基板の外形を選ぶことができます。 このチュートリアルでは、ボードサイズを独自に指定することにします。 基板外形のリストから、Customを選択し、Nextをクリックします。
5.カスタムボードのオプションを入力します。 チュートリアル用の回路としては、2×2インチの基板で十分です。 Rectangularを選択し、 WidthHeightのフィールドにそれぞれ2000を入力します。 Title Block & Scale, Legend StringDimension Linesのチェックは外しておきます。 Next をクリックして続けます。
6.ここでは、ボード上のレイヤの数が選べます。 二つの信号レイヤが必要です。電力用のレイヤは不要です。 Next をクリックして続けます。
7.デザイン中で使用するビアのスタイルを選びます。 Thruhole Vias onlyを選択し、Nextをクリックします。
8.ここでは、コンポーネント/トラックのテクノロジ(配線)のオプションが選べます。 Through-hole componentsオプションを選択し、One Trackで隣接するパッド間のトラックの数を設定します。 Next をクリックします。
9.ここでは、基板に適用するトラックの幅とビアのサイズに関するデザインルールを設定します。 これらのオプションはデフォルトのままにしておいてください。 Next をクリックします。
10. Finishをクリックします。 これで、新規ボードを生成するのに必要なすべての情報をPCB Board Wizardに設定しました。 PCBエディタには、新しいPCB PCB1.PcbDocが表示されています。
11.PCBドキュメントには、デフォルトサイズの白いシートと空の基板外形(グリッドのある黒いエリア)が表示されています。 これをオフにするには、Board Options .ダイアログの Design » Board Optionsを選択して、Display Sheetの選択を外します。
Altium Designerが提供している他のPCBテンプレートから、自分で境界、グリッド参照、タイトルブロックを追加することもできます。

詳細なチュートリアルを見るには、F1キーを押して、Altium Designerのドキュメントライブラリにアクセスしてください。

基板外形、シート、テンプレートについての詳細は、TU0110 デザイン移行のための ボード準備 TU0110%20Preparing%20the%20Board%20for%20Design%20Transfer.pdfを参照してください。

12.これで、シートはオフになります。基板外形だけを表示するには、View » Fit Board [ショートカット VF]を選択します。
13.PCBドキュメントがプロジェクトに自動的に追加(リンク)され、Projectsタブのプロジェクト名の下にあるソースドキュメントにリストアップされます。 File » Save As を選択して、新規のPCBファイル(拡張子.PcbDoc)の名称を変更します。 PCBの保存先を指定します。Multivibrator.PcbDocをFile Name フィールドに入力して、Saveをクリックします。

新しいPCBをプロジェクトに追加

プロジェクトファイルに追加したいPCBがフリードキュメントとして開かれている場合は、 ProjectsパネルのPCBプロジェクトファイルをクリックし、Add Existing to Projectを選択します。 新規PCBのファイル名を選択しOpenをクリックします。 これで、Projectsパネルのプロジェクトの下にあるSource DocumentsにPCBがリストアップされます。ドキュメントは自動的にプロジェクトファイルにリンクされました。 この操作は、フリードキュメントをプロジェクトファイルにドラッグ&ドロップすることによっても行えます。 プロジェクトファイルを保存します。

設計情報の転送

回路図情報を新しい空のPCBに転送する前に、回路図とPCBの両方で、関連ライブラリが有効であることを確認してください。 デフォルトでインストールされている統合ライブラリだけをこのチュートリアルでは使用しますので、フットプリントは既に含まれています。 プロジェクトがいったんコンパイルされ、エラーも修正されたら、Update PCBコマンドを使ってECO(Engineering Change Orders)を生成。回路図情報をターゲットPCBに転送します。

PCBの更新

回路図情報をプロジェクト内のターゲットPCBに転送します。
1.回路図ドキュメントMultivibrator.SchDocを開きます
2. Design » Update PCB Documentで、Multivibrator.PcbDocを選択します。 プロジェクトがコンパイルされ、Engineering Change Orderダイアログが表示されます。
ECOについてのレポートを作成、プリントアウトすることができます。Report Changesボタンをクリックしてください。
3. Validate Changesをクリックします。 すべての変更が正当と確認されたら、緑のマークががStatusリストに表示されます。 変更が正しく確認されなかった場合は、ダイアログを閉じてMessagesパネルをチェック。エラーをクリアにしてください。
4. Execute Changesをクリックして変更をPCBに送ります。 すべて完了したら、Done欄のエントリがマークされます。


図4 配置準備の完了したコンポーネント

5. Closeをクリックして、ボード上に配置準備の完了したコンポーネントが並んでいるターゲットPCBを開きます。 カレントビューでコンポーネントが見えない場合、ショートカットVDView » Document)で見えるようになります。

PCBの設計

これから、PCB上のコンポーネントの配置と基板の配線を始めます。

PCBワークスペースの設定

ボード上のコンポーネントを配置する前に、グリッド、レイヤ、デザインルールなど、PCBワークスペースを設定する必要があります。 PCBエディタでは、2Dまたは3Dでワークスペースをレンダリングすることができます。
2D モデルはマルチレイヤ環境であり、コンポーネントの配置、配線、接続など、通常の PCB デザイン作業に適しています。 3D モデルは、デザインを内部および外部からフル 3D モデルとして調べ、部品の干渉や製造前の外観をチェックするのに便利です。 2D モードと 3D モードを切り替えるには、File » Switch To 3D または File » Switch To 2D(ショートカット 2(2D)、3(3D))を使用します。

グリッド

基板にコンポーネントを配置する前に、適切な配置グリッドが設定されているか確認してください。 PCBワークスペースにあるすべてのオブジェクトは、"スナップグリッド"に従って配置されます。 このグリッドは、使用する配線テクノロジに適した値にする必要があります。

PCBエディタはインチとメートルの両方の単位をサポートしています。 切り替えには、View » Toggle Unitsを選択してください。 多くのダイアログの機能が、トグルスイッチ でコントロールされており、使用中のダイアログで長さの単位を変更できます。このチュートリアルでは、標準のインチコンポーネントを使用します。最小ピンピッチは、100milです。 スナップグリッドはこれと同様な比率で設定します。つまり、50mil、25milなど、コンポーネントを配置したとき、すべてのピンがグリッドポイントにうまくはまるようにします。 ボードのトラック幅とクリアランスもそれぞれ、12mil、13mil(PCB Board Wizardのデフォルト値)にします。この設定で、パラレルトラックの間のセンターに、最低25milを確保できます。 したがって、最も適したスナップグリッドの設定は25milということになります。

スナップグリッドを設定するには、以下の手順に従ってください。
1. Design » Board Options [ショートカットキー D, O] を選択すると、Board Options ダイアログが表示されます。
2.ドロップダウンリストか直接入力で、Snap GridComponent Gridの値を25milに設定します。 このダイアログでは、Electrical Gridの設定も行うことができます。 このグリッドは、電気的オブジェクトを配置するときに使用するもので、スナップグリッドに優先して電気的オブジェクトをスナップします。 OKボタンをクリックし、ダイアログを閉じます。
他にいくつかのオプションを設定して、コンポーネントを配置しやすくしましょう。

1. Tools » Preferences[ショートカットT, P]を選択し、 Preferencesダイアログを開きます ダイアログ中の選択ツリー(パネルの左サイド)のPCB Editor - Generalをクリックして、PCB Editor - Generalのページを表示させます。 Editing Optionsセクションでは、Snap To Centerオプションが選ばれています。 このことはつまり、コンポーネントをつかんで配置しようとすると、カーソルはコンポーネントの参照ポイントに設定されることを意味します。

2. PCB Editor - Displayをクリックします。 このページのDirectX Optionsセクションでは、Use DirectX if possibleオプションをチェックしてください。 これで、最新の3Dビューモデルが活用できます。 OK をクリックしてPreferences ダイアログを閉じます。

注 : Altium Designerの3Dビューモデルには、最適なグラフィックカードに合わせて、DirectX 9.0CまたはShader Model 3(それ以上)が必要になります。 DirectXが動作しない場合は、旧版の3Dビューアしか使えないことになります。

ビュー設定におけるレイヤスタックとその他の非電気的レイヤの定義

ビュー設定は、2D、3D環境用の多くのPCBワークスペースの表示オプションをコントロールし、PCBとPCBライブラリのエディタを適用するために設定します。 PCBドキュメントが保存されたとき、最後に使用していたビュー設定がファイルと共に保存されます。 これにより、関連するビュー設定を使ったAltium Designerの他のインスタンスを見ることができます。 ビュー設定は、ローカルに保存して、どんなPCBドキュメントに対しても、いつでも使用、適用することができます。 関連するビュー設定のないどんなPCBファイルでも、システムデフォルトで表示されます。

注 : View Configurations ダイアログは、レイヤ用2Dカラー設定へのアクセスを提供しています。その他のシステムベースのカラー設定 - system settingsは、すべてのPCBドキュメントに適用される、ビュー設定の一部です。 2Dワークスペース用のカラープロファイルは、ビュー設定と同じく、作成、保存が可能です。また、いつでも適用できます。

Design » Board Layers & Colors [ショートカット L] をメインメニューから選択して、View Configurations ダイアログを開きます。 このダイアログで、ビュー設定の定義、編集、ロード、保存ができます。 ここでは、どのレイヤを表示するか、ポリゴン、パッド、トラック、ストリングなどの一般オブジェクトをどのように表示するか、ネット名や参照マーカ、透過レイヤの表示、シングルレイヤのモード表示、3D表面の不透過度、3D本体の表示、等々を設定します。

ビューの設定は、View Configurationsダイアログを使って、あるいは、PCB Standardツールバーのドロップダウンリストから直接選ぶことで、適用することができます。
PCB ワークスペースの下部には一連のレイヤタブがあります。編集作業のほとんどは特定のレイヤに対して実行されます。

PCBエディタには、3種類のレイヤがあります:

  • エレクトリカルレイヤ - ここには32の信号層と16の内部プレーン層が含まれます。 エレクトリカルレイヤは、Layer Stack Manager ダイアログで、Design » Layer Stack Managerを選択すると、デザインからの追加と削除ができます。
  • メカニカルレイヤ - 基板外形の定義や寸法線、組立て図の作成など、デザインの必要に応じて、汎用のレイヤとして16のメカニカルレイヤが用意されています。 これらのレイヤは、ガーバー出力生成時に含めることができます。 View Configurations ダイアログで、メカニカルレイヤの追加、削除、名前の設定を行うことができます。
  • 特別レイヤ - ここにはトップ、ボトムのシルクスクリーンレイヤ、ソルダ及び、ペーストマスクレイヤ、ドリルレイヤ、キープアウトレイヤ(電気的な境界を定義するのに使用)、マルチレイヤ(マルチレイヤパッドやビアに使用)、コネクションレイヤ、DRCエラーレイヤ、グリッドレイヤ、ホールレイヤが含まれます。

ここで、簡単な2Dのビュー設定を作成してみましょう。
1. Design » Board Layers & Colors [ショートカットL]を選択して、View Configurationsダイアログを開いてください。 ダイアログは、Select PCB View Configurationの下で選択されているアクティブな設定で開きます。 3Dモードになっているときは、2Dをクリックしてください。
2. Board Layers And Colorsページで、Only show layers in layer stackOnly show enabled mechanical layers のオプションを有効にします。 これらの設定はスタックしているレイヤだけに表示されます。
3.ページ下部の Used Layers Onのコントロールをクリックします。 これは、使用中のレイヤにだけ表示されます。 つまり、デザイン要素を持っています。
4. Top Layerの隣の色をクリックして、2D System Colorsダイアログを表示させます。#7 (yellow)をBasicカラーリストから選択します。 OKをクリックして、View Configurationsに戻ります。
5. Bottom Layerの隣の色をクリックして、2D System Colorsダイアログを表示させます。#228 (bright green)をBasicカラーリストから選択します。 OKをクリックして、View Configurationsに戻ります。
6. Top Overlayの隣の色をクリックして、2D System Colorsダイアログを表示させます。#233 (white)をBasicカラーリストから選択します。 OKをクリックして、View Configurationsに戻ります。
7.各レイヤのShow オプションが無効になっているので、4つのMaskレイヤとDrill Drawingレイヤは表示されていないことを確認してください。
8. Actionsセクションで、Save As view configurationをクリックしてファイルをtutorial.config_2dsimpleとして保存してください。
9. OKをクリックして、View Configurationsに戻り、変更を適用して閉じます。

注 : 2Dレイヤのカラー設定は、システムベースであり、すべてのPCBドキュメントに影響を及ぼします。個別のビュー設定に関連した一項目ではありません。 2D System Colorsダイアログからは、2Dカラープロファイルの生成、編集、保存ができます。

レイヤスタックマネージャ

チュートリアルで使用するPCBは簡単なデザインで、片面や両面基板で配線が行えます。 デザインがより複雑な場合は、Layer Stack Manager ダイアログでレイヤを追加することができます。
1. Design » Layer Stack Manager [ショートカットキー D, K]を実行し、Layer Stack Manager ダイアログを表示します。
2.新しいレイヤやプレーンは、現在選択しているレイヤの下に追加されます。 レイヤの属性、銅箔の厚みや絶縁体の属性などは、シグナルインティグリティで使用されます。 OKボタンをクリックし、ダイアログを閉じます。

新しいデザインルールの設定

PCBエディタはルールドリブンな環境です。つまり、ユーザが何かアクションを起こして - トラックの配置とか、コンポーネントの移動とか、ボードの自動配線とか - デザインを変えるとAltium Designerはそれぞれのアクションをモニタしていて、デザインルールの範囲内でデザインをコンパイルできるかどうかチェックしています。 異常な操作に対しては、ルール違反として、エラーが直ちにハイライトされます。 デザインルールの設定をボードの作業の前に行っておくことで、デザインのタスクそのものに集中することができ、エラーはすぐに報告されて、デザイナの指示を待つのだということを当てにできます。
デザインルールは10のカテゴリに分けられ、ルールのタイプごとに、さらに分類されます。 デザインルールは電気、配線、製造、配置、シグナルインテグリティの要求をカバーしています。

今から、新しいデザインルールを設定して、電力ネットの配線に必要な幅を規定してみましょう。 これらのルールを設定するには、以下の手順に従ってください。
1.メニューからDesign » Rulesを選択し、PCBドキュメントをアクティブにします。
2. PCB Rules and Constraints Editor ダイアログが表示されます。 各ルールのカテゴリが、ダイアログの(左サイドの)Design Rulesフォルダの下に表示されます。 Routingカテゴリをダブルクリックして広げ、関連する配線ルールを見ます。 Widthをダブルクリックすると、幅についてのルールが参照できます。
3.それぞれのルールをクリックして選択します。 それぞれのルールをクリックすると、ダイアログの右サイド、トップセクションにルールのスコープ(このルールを適用する対象)が表示されます。ボトムセクションには、ルールの制約事項が表示されます。 これらのルールはデフォルトか、あるいは、新しいPCBドキュメントが生成されたときにPCB Board Wizardで設定されているはずです。
4. Width ルールをクリックしてスコープと制限事項を見てみましょう。 このルールは、ボード全体に適用されます(ScopeAllに設定されています)。

Altium Designerのデザインルールシステムの強力な機能の一つは、同タイプの複数のルールを、別々のオブジェクトを対象にして定義できることです。 各ルールが対象とするオブジェクトの正確なセットは、ルールのscopeで定義されます。 ルールシステムは、プレ定義階層を使って、どのルールがどのオブジェクトに適用されるのかをきちんと決めます。

たとえば、幅についての制限事項をボード全体に適応(すべてのトラック幅を統一、など)した上で、グランドネット幅についての2番目の制限ルール(これは最初のルールより優先)を設定し、最後に、特定のグランドネット接続の幅についてだけ適用されるルールを導入できます(このルールは他の二つに優先)。 ルールは、優先度の高い順に表示されます。

今のところ、このデザインには幅についての制限ルールが一つだけあり、ボードの全体に適用されています。 今から、幅についての新しい制限ルールを追加してみましょう。12VとGNDのネットで、幅を25milにします。 これらの制限ルールを設定するには、以下の手順に従ってください。
1. Design Rulesフォルダで選択されたWidth カテゴリで、右クリックでNew Ruleを選択し、12Vネットだけをターゲットにして、幅についての新しい制限ルールを追加します。
新規ルールの名前Width_1 appearsが表示されます。 Design Rulesフォルダ内の新規ルールをクリックして、スコープと制限事項を書き換えます。
2. 12V or GND をName フィールドに入力します。 この名前は、Design Rules の領域をクリックすると確定します。
3.次に、Query Builderを使用して、ルールスコープを設定します。直接入力することもできます。 設定が複雑になりそうな場合は、Advancedオプションを選択、Query HelperボタンをクリックしてQuery Helperダイアログを使ってください。

4. Query Builderボタンをクリックして、Building Query from Board ダイアログを開きます。
5. Add first conditionをクリックし、ドロップダウンリストからBelongs to Netを選択します。 Condition Valueのフィールドで、リストから12Vを選択します。 Query PreviewにInNet(''12V')が表示されました。
6. Add another conditionをクリックしてスコープを広げ、GNDネットを追加します。 Belongs to NetGNDCondition Valueとして選択します。
7.検索ロジックを変更します。'ANDの検索ロジックをクリックして、ドロップダウンリストからORを選択します。 プレビューが InNet('12V') OR InNet('GND') になっていることを確認します。
8. OK をクリックしてBuilding Query from Boardダイアログを閉じます。 これで、Full Queryセクションのスコープは新しい設定にアップデートされました。
9. PCB Rules and Constraints Editor ダイアログの下部セクションで、以前の制限テキスト(10mil)をクリック、数値を入力して、Min Width, Preferred WidthMax Widthのフィールドを25milに変更してください。 これで新しいルールが設定されました。別のルールを選んだり、ダイアログを閉じたりする前に、保存してください。
10.最後に、オリジナルルール Width(ScopeAllにセット)をクリックして、編集します。Min WidthMax WidthPreferred Widthフィールドがすべて12milに設定されていることを確認します。 OKボタンをクリックし、ダイアログを閉じます。

ボードをマニュアルで、あるいは自動で配線するときは、25milに設定されているGNDと12Vのトラックを除いて、全トラックが12milの幅になります。

PCB上へのコンポーネント配置


図5 ボード上のコンポーネント

これで、正しい位置へのコンポーネント配置を始めることができます。
1.ショートカットVD で、ボードとコンポーネントにズームインしてください。
2.コネクタY1を配置するには、カーソルをコネクタの外観の真中において、左マウスボタンでクリック&ホールドしてください。 カーソルは十字形に変わり、部品の参照ポイントにジャンプします。 マウスボタンでホールドしたまま、コンポーネントをドラッグします。
3.フットプリントをボードの左サイドへもって行きます。なお、全部のコンポーネントが、ボードの境界内にそろっていることはあらかじめ確認してください(図 5)。
コンポーネントを動かすと、接続ラインは自動的に再度、最適化されます。 これにより、接続ラインをコンポーネントの最適配置と向きのガイドとして使うことができます。
4.コンポーネントの位置を決めたら、マウスボタンを離し、その場にドロップします。 接続ラインはコンポーネントと一緒にドラッグされます。
5. 図 5をガイドにして、残っているコンポーネントの位置を決めます。 ドラッグしながらSPACEBARキーを使うと、コンポーネントが回転(反時計回りに90度刻み)します。接続ラインは、図 5のようになります。 それぞれのコンポーネントを配置するたびに、接続ラインは最適化されます。
コンポーネントテキストも、同様のやり方で再配置することができます。テキストのクリック&ドラッグ、SPACEBARで回転です。

Altium Designerには、強力な対話式配置ツールが装備されています。 4つのレジスタが正しく整列、等間隔で配置されていることを確認してみましょう。
1. SHIFTキーを押しながら、4つのレジスタそれぞれをクリックするか、または、4つまとめてクリック&ドラッグします。 選択されたコンポーネントの周りに、Selectionsと呼ばれるシステム色で影が付いた選択ボックスが表示されます。 選択色を変えるには、Design » Board Layers & Colors [ショートカット L ]を選択してください。

2.右クリックで、Align » Align [ショートカット AA ]を選択します。 Align Objectsダイアログで、HorizontalセクションのSpace Equallyをクリック、VerticalセクションでTopをクリックします。 4つのレジスタは、これできちんと、等間隔で整列しました。
3.デザインウィンドウの適当な場所をクリックして、レジスタの選択を解除します。

フットプリントの変更


図6 新しいフットプリントとともにボード上に配置されたコンポーネント

ここでは、フットプリントの位置を決めます。コンデンサのフットプリントは大きすぎて、要求仕様に合わないようです。 コンデンサのフットプリントをもっと小さなものに変更しましょう。
1.最初に、新しいフットプリントを見てみましょう。 Librariesパネルをクリックして、ライブラリのリストからMiscellaneous Devices.IntLibを選びます。 ラジアルタイプの小さなフットプリントが欲しいので、Filterフィールドにradを入力します。 ライブラリ名の隣にある... buttonをクリックして、Footprintsオプションを選択、アクティブライブラリ内で有効なフットプリントを表示させます。 フットプリント名をクリックして、関連するフットプリントを見ます。 フットプリントRAD-0.1ならうまく合いそうです。
2.コンデンサをダブルクリックし、Componentダイアログで、Footprint フィールドをRAD-0.1に変更します。 フットプリント名を入力します。あるいは、... buttonを押して、Browse Librariesダイアログからフットプリントを選びます。 OKをクリックすると、新しいフットプリントがボード上に現れます。 必要に応じて識別子を再配置します。 ボードは図 6のようになるはずです。

PCBドキュメント上で選択したオブジェクトは移動することができます。Ctrl キーと矢印キーの組み合わせを使用するか(垂直または水平)、Ctrl キーと Shift キーと矢印キーの組み合わせを使用します。 選択したオブジェクトの移動は、Board Options ダイアログ(Design » Board Options [ショートカット D, O])の Snap Grid に設定されている値に応じて設定されます。 このダイアログでスナップグリッド値を変更できます。 スナップグリッド設定値を切り替えるには、ショートカット G を使用します。 View » Gridsのサブメニューや右クリックメニューのSnap Grid を選択することもできます。

Ctrl キーを押しながら矢印キーを押すと、選択したオブジェクトは、現在のスナップグリッド値に応じて少しづつ移動します。 Ctrl キーと Shift キーを押したまま矢印キーを押すと、選択したオブジェクトは、スナップグリッド値に 10 を掛けた分だけ大きく移動します。すべて配置し終えたら、配線に取りかかりましょう。

ボードのマニュアル配線

配線は、トラックやビアをボード上に置いて、コンポーネントをつないで行くプロセスです。 Altium Designerは、ボード上の全部または一部の配線をボタンタッチで最適化するSitusオートルータ以上に洗練された対話型配線ツールによって、この作業を簡単にしました。

オートルータ(自動配線機能)が簡単で強力なボードの配線手法を提供する一方で、配置やトラックに正確なコントロールが必要な箇所があったり、どうしても手動で引いてみたい場合があったりします。 このようなシチュエーションでは、ボードの一部または全部を手動で配線することもできます。 チュートリアルのこのセクションでは、全部のボード(片面)について、ボトムレイヤのすべてのトラックを手動で配線してみましょう。 トラック配置のためのカーソルガイダンス、シングルクリックによる接続、障害物のプッシュ&ウォークアラウンド、既存の接続への自動追従、など。効率的で柔軟な直感的手法により、対話型配線ツールは、デザインルールに一致した配線作業を最大限に支援します。

今から、ボードのボトムレイヤにトラックを配置してみましょう。ガイドに使用するのは、"ratsnest" 接続線です。
PCB上のトラックは、一連の直線セグメントで構成されています。 各段階で、方向が変わり、新しいトラックセグメントが始まります。 デフォルトでAltium Designerは、トラックの角度を垂直、水平、斜め45度に限定することで、本格的な配線を容易に提供することができます。 ツールの動作はカスタマイズして、ユーザの要求に合わせることができます。このチュートリアルではこのまま使います。
1.ボトムレイヤを有効にします。ショートカットキー L を押して、View Configurationsダイアログを表示させてください。 Signal Layers 領域にあるボトムレイヤの隣のShowオプションを有効にします。 OKをクリックすると、デザインウィンドウの下部にボムレイヤタブが表示されます。
2. Place » Interactive Routing [ショートカットP, T]をメニューから選択します。または、Interactive Routingボタン ( ) をクリックします。 カーソルが十字形に変わり、トラック配置モードであることを示しています。
3.ドキュメントワークスペースの下部に並んでいるレイヤタブのいくつかを調べてみてください。 Top Layerタブが現在アクティブになっているはずです。 トラック配置モードを抜けることなく、ボトムレイヤを切り替えるには、数値キーパッドの上で *** キーを押してください。 このキーで信号レイヤと交互に切り替わります。 Bottom Layerタブが現在アクティブになっているはずです。
4.コネクタY1上の下側のパッドにカーソルを合わせます。 クリックするか、ENTERキーを押して、最初のトラックポイントを固定します。
5.カーソルをレジスタR1の下側のパッドに移動させます。 トラックセグメントがチェックパターンの中で表示される様子に注意してください。カーソルパスに追従します(図 7)。 チェックパターンは、まだ、定まって(配置されて)いないことを示しています。 パスに沿ってカーソルを戻すと、定まっていない配線も崩れます。 ここでは、配線に二つの選択肢があります。

  • CTRL + クリックで、Auto-Complete機能を使用し、ただちに接続(このテクニックはパッドや接続ライン上で直接使えます)。 接続元と接続先のパッドは同じレイヤにある必要があります。また、Auto-Complete機能が動作するためには、ボード上に障害物があっても、配線可能である必要があります。 大きなボードでは、配線パスがセクションごとにマップされるので、このAuto-Completeパスが常に有効であるとは限りません。また、接続元と接続先パッドのマッピングを完了できない場合もあります。


図7 手動プロセスではカーソルが追従します

  • ENTER または、対象となるトラックセグメントのクリックで、トラックがターゲットのR1パッドへ直接つながります。 この方法は、配線のコントロールを提供し、必要なアクションを最小限にします。
    目的外のトラックは斜線で、目的のトラックは無地で表されます。

6.上記の方法のどちらかを使って、ボード上の他のコンポーネント間を配線します。図 9はマニュアルで配線されたボードです。
7.デザインを保存します[ショートカット F, S、または CTRL + S]。

図8 Pushモード、Hug & Pushモードで、目標のパッドに配線できないとき、ブロックマークが現れます。

Altium Designerの対話型配線ツールは、既存のトラックなど、ボード上の障害物との衝突を解決できるモードに特長があります。 これらの対話的な配線モードは、SHIFT + R でを切り替えられます。 有効なモードは以下のとおりです。
Push(押しのけ) - このモードは、干渉無しに再配置できそうなオブジェクト(トラックやビア)の移動を試みることで、新しい配線に対応します。
Walkaround(迂回) - このモードは、既存の障害物を動かすことなく、その周りに配線の引き回しを試みます。
Hug & Push(ハグ&プッシュ) - このモードは、上記二つの機能の組み合わせです。 障害物を迂回する一方で、固定の障害物を押しのけようとします。
Ignore(無視) - このモードでは、違反を無視して、どこにでもトラックを配線できます。
対話型配線の実行中、PushまたはHug & Pushモードで解決できないエリア内に配線しようとすると、トラックの端に表示が現れ、ブロックされていることが示されます(図 8)。

トラック配置のヒント

トラックを配置するときは、以下のポイントを覚えておいてください。

  • クリックまたはENTERで、カーソルの現在位置にトラックセグメントが固定されます。 対象外の配線を表すパターンセグメントをチェックしてください。 対象トラックはレイヤ内で無地になっています。
  • CTRL + クリックで、いつでもAuto-Complete接続が使用できます 接続元と接続先のパッドは同じレイヤにある必要があります。また、回避不能な障害物があってはいけません。
  • SHIFT + Rで衝突解決のモード、Push、Walkaround、Hug & Push 、Ignoreが切り替えられます。


図9 手動で配線したボードでは、トラックはトップとボトムのレイヤに配置されます。

  • SHIFT + SPACEBAR で各種トラックコーナーのモードが切り替わります。 スタイルは、 自由アングル、45°、アークつき45°、90°アークつき90°です。 SPACEBARを押して、コーナーの向きを変えてください。
  • END を押すと、いつでも、スクリーンが再描画されます。
  • V, Fで、いつでも、全オブジェクトがフィットするようにスクリーンが再描画されます。
  • PAGE UPまたは、PAGE DOWNキーで、いつでも、カーソル位置を中心にしてズームイン、ズームアウトができます。 マウスホイールで、左移動、右移動します。 CTRLキーを押したまま、マウスホイールでズームイン、ズームアウトができます。
  • BACKSPACEで直前に配置したトラックセグメントをやり直しできます。
  • トラックの配置を終了して、別な作業を始めるには、右クリックまたは、ESCを押します。
  • お互いにつなぐべきでないパッドをうっかり接続してしまうことはありえません。 Altium Designerはボードをモニタしており、接続ミスやトラックの交差が起こらないようにしています。
  • トラックセグメントを削除するには、クリックで選択します。 セグメントの編集ハンドルが現れます(トラックの残りの部分はハイライトされます)。 DELETE キーを押して、選択されたトラックセグメントを削除してください。
  • 新しいトラックセグメントの再配線も容易です。右クリックで終了したら、余分なトラックセグメントは自動的に削除されます。
  • PCB上のすべてのトラックの配置が終了したら、右クリックするかESCキーを押して、配置モードを抜けます。

各種の対話型配線ツールについての詳細は、AP0135 Interactive and Differential Pair Routing AP0135%20Interactive%20and%20Differential%20Pair%20Routing.pdf を参照してください。

ボードの自動配線

Altium Designerの自動配線がいかに簡単かわかります。以下の手順に従ってください。
1.最初に、メニューからTools » Un-Route » All [ショートカット U, A] を選択し、ボードの配線を除去します。
2. Auto Route » Allを選択します。 Situs Routing Strategiesダイアログが表示されます。 Route Allをクリックします。 Messagesパネルには自動配線の様子が表示されます。


図10 フル自動配線されたボード

Situsオートルータは、経験豊富なボード設計者の作業に比肩する成果を提供します。PCB編集ウィンドウ内のボードに直接、配線するので、配線ファイルのエクスポート、インポート作業で格闘する必要はありません。
3. File » Save [ショートカットF, S]を選択してボードを保存してください。

注 : オートルータで配置されたトラックは2種類の色で表されています。赤色は、トラックがボードのトップの信号レイヤにあることを示し、青色はボトムの信号レイヤにあることを示します。 オートルータが使用するレイヤは、Routing Layersのデザインルールで特定されており、PCB Board Wizardで設定できます。 また、コネクタからの二つの電力ネットトラックが幅広くなっています。これは、チュートリアルで既に設定されたデザインルールに基づいています。
なお、図 10とまったく同じデザインになるとは限りません。 コンポーネントの配置、配線の配置もまったく同じになるわけではありません。
なぜなら、このチュートリアルでは、PCB Board Wizardで独自に両面ボードを定義しましたが、手動でトップとボトムのレイヤを使用し、「両面」ボードの配線を行うこともできるからです。 最初に、メニューからTools » Un-Route » All [ショートカット U, A] を選択し、ボードの配線を除去します。 これまでどおり、対話型配線を始めます。{}* キーで配置トラックのレイヤを切り替えます。 レイヤを切り替えると、Altium Designerは必要に応じて自動的にビアを挿入します。

3Dモードでボードデザインを確認する

以上で、ボードデザインは基本的に完成しました。3Dモードで見てみましょう。 3Dモードでは、あらゆる角度からフル3Dモデルのボードを眺めることができます。 3D に切り替えるには、PCB Editorで View » Switch To 3D [shortcut: 3] を選ぶか、PCB Standard ツールバーのリストから3D ビュー構成を選択します。
Altium Designer の3D 環境には、DirectX とその関連テクノロジ、グラフィックカードが必要です。 お使いのシステムを調べて、Altium Designerから DirectXを使用できるようにしてください。 Preferences ダイアログ(Tools » Preferences)の PCB Editor - Display ページを開きます。

ビューは滑らかにズームさせたり、回転させたりすることができます。ボードの内部に入り込むことさえできます。以下のコントロールを使用してください。
Zooming(ズーム) - CTRL + 右クリック、あるいは、CTRL + マウスホイール、あるいは、PAGE UP / PAGE DOWN キー。
Panning(パン) - マウスホイールでアップ/ダウン、SHIFT + マウスホイールで左/右、右ドラッグであらゆる方向へパン。
Rotation(回転) - SHIFT を押しながら、3D 回転モードに入る。 図には、カーソルポジションにおけるダイレクションスフィア(方向指示する球体)がスクリーンに表示されています(図 11)。 モデルの回転運動は、スフィアを中心にして行われます。以下のコントロールを使用してください。
スフィアの Center Dot(中心点)を右ドラッグすると、フルフローティングビュー - あらゆる方向に回転できます。
スフィアのHorizontal Arrow(水平方向の矢印)を右ドラッグすると、Y軸を中心として回転します。
スフィアのVertical Arrow(垂直方向の矢印)を右ドラッグすると、X軸を中心として回転します。
スフィアの Circle Segment(円環部分)を右ドラッグすると、Y平面で回転します。


図11 3Dビューの回転スフィア

Altium Designerの3Dモードには、DirectX 9.0c以降、Shader Model 3以降、適切なグラフィックカードが必要になります。
PCBエディタのオプションが有効なら、Use DirectX で、DirectXを使うように設定できます。Preferences ダイアログ (Tools » Preferences)のページを表示させてください。

3Dワークスペース表示オプションを、View Configurations ダイアログ [ショートカット L] で設定します。 さまざまな表層とワークスペースのカラーを選択できるオプション、頂点のスケーリングを選択できるオプションがあり、PCBの内部を手軽に調べることができます。 いくつかの表層には、不透明- 不透明さが増すにつれて、'表層を透過する明るさが減少し、オブジェクトの背後が見えなくなる - が設定されています。 3Dボディやレンダリング3Dオブジェクトは、2Dのレイヤカラーで表示させることもできます。

3D STEPフォーマットのモデルをコンポーネントフットプリントやPCBデザインにインポートして、カスタムの3Dボディオブジェクトを作成することができます。 また、PCBドキュメントを STEP や DWG/DXF のフォーマットで出力して、ほかのプログラムで使用することもできます。 今までの3Dビューア(Tools » Legacy Tools » Legacy 3D View)は、3Dオブジェクトを VRML 1.0/IGES/STEP フォーマットでインポートすることができ、IGES や STEP でエクスポートできました。

注 : 3D モードでは、いつでも、現在のビューをクリップボードにさまざまな解像度で"貼り付ける"ことができます。CTRL + Cを使用してください。 イメージは、Windowsのクリップボードに、ビットマップフォーマットで保存され、他のアプリケーションで使用することができます。

コンポーネントフットプリント用の3Dボディの作成とインポート

これで、ようやく、PCBの最終検証と出力の段階に到達しました。 Altium Designer の3D 環境は優れたビューア機能を提供し、PCBアセンブリの視覚的でリアルな環境での検証が行えます。

コンポーネントフットプリントは、3D環境でコンポーネントをレンダリングするための3D ボディを保存することができます。 さらに、正確なコンポーネントクリアランスのチェックができ、PCBとその外部、あるいはフリーフロート3Dオブジェクトとの全体的な組み立てさえも可能です。 これらの機能によって、正にAltium Designerだけで、メカニカルCADパッケージと新しいレベルで設計の統合を図ることができます。

コンポーネントの3D ボディの作成についての詳細は、TU0103 ライブラリコンポーネントの 作成 TU0103%20Creating%20Library%20Components.pdf3次元コンポーネントの詳細 のセクションを参照してください。
MCADアプリケーションとの統合のために 3D ボディを使用することについての詳細は、TU0132 MCADオブジェクトとPCBデザインの統合 TU0132%20Integrating%20MCAD%20Objects%20and%20PCB%20Designs.pdf を参照してください。

TU0132 MCADオブジェクトとPCBデザインの統合 TU0132%20Integrating%20MCAD%20Objects%20and%20PCB%20Designs.pdf のチュートリアルでは、このチュートリアルで作成してきたボードを使用して、コンポーネントの3D ボディを完成させます。 (図 12). チュートリアルは、ボードとハウジング機構の組み立てに進みます(図 13)。 ボードとコンポーネントは、Altium Designerをインストールしたディレクトリの Examples/Tutorials/multivibrator_step フォルダの中にあります。


図12 3D ボディコンポーネントで表示されたマルチバイブレータPCB


図13 2つの部品ハウジングにフルアセンブリされたマルチバイブレータPCB

ボードデザインの確認

Altium DesignerはPCBをデザインできるルールドリブンの設計環境であり、ボードを完全なものにするために多くのデザインルールのタイプを定義することができます。 一般的には、デザインプロセスの開始時にデザインルールを設定し、設計終了時にルールに従ってデザインが作成されているか確認します。
Altium Designerは、階層デザインのルールをサポートしています。 同様のルールについては、そのいくつかを、それぞれの定義スコープで設定できます。 ルールの優先順位は、定義の順序で決まります。このチュートリアルの前半で、配線デザインルールをテストし、トラック幅に関するルールを追加しました。 その他の多くのルールはすでにPCB Board Wizardによって作成されています。

配線が終了したPCBに対して、デザインルールに合致しているか確認するためデザインルールチェック(DRC)を実行します:
1. Design » Board Layers & Colors [ショートカットL]を選択して、System Colors セクションのDRC Error Markers オプションの隣にある、Show ボタンが有効になっている(チェックされている)ことを確認して、DRC エラーマーカーが表示されるようにしてください。
2. Tools » Design Rule Check [ショートカット T, D]を選択します。 オンラインとバッチDRCの両方が Design Rule Checker ダイアログで構成されています。 カテゴリ、たとえば、Electrical をクリックすると、カテゴリに属する全ルールを参照できます。
3.すべてのオプションをデフォルトのままにして、Run Design Rule Check ボタンをクリックします。 DRC が実行され、レポートファイル Multivibrator.DRC が開きます。 結果は、Messagesパネルにも表示されます。 PCBドキュメントをクリックします。トランジスタのパッドが緑色にハイライト表示されて、デザインルール違反を示しているのがわかります。
4.エラーリストを Messages パネルで調べます。 リストにはPCBデザインで発生した違反が表示されています。 4つの違反箇所が Clearance Constraint ルールの下に記載されている点に注目してください。 トランジスタQ1とQ2のパッドが、13 milのクリアランスルールに違反していることがわかります。
5. Messagesパネルでエラーをダブルクリックすると、PCB上の配置場所にジャンプします。

通常は、クリアランスの制限ルールを設定してから、ボードをレイアウトし、ルーティングテクノロジやデバイスの物理属性を確認します。 エラーを解析し、現在のクリアランスデザインのルールを再検討して、対策を決定します。

トランジスタのパッド間の実際のクリアランスを調べるには、次の操作を実行します:
1.PCBドキュメントをアクティブな状態にします。カーソルをトランジスタの1つに合わせ、PAGE UPキーを押して拡大表示します。
2. Reports » Measure Primitives [ショートカット R, P]を選択します。 カーソルが十字形に変わります。

3.カーソルをトランジスタの左側のパッドの中心に移動した後、クリックするか、ENTERキーを押します。 カーソルは、接続されているパッドとトラックの上に移動します。ポップアップメニューが表示され、目的のオブジェクトが選択できるようになります。 トランジスタのパッドをポップアップメニューから選択します。
4.カーソルをトランジスタの中間のパッドの中心に移動した後、クリックするか、ENTERキーを押します。 もう一度、パッドをポップアップメニューから選択します。 情報ボックスが表示され、パッド間の最短距離は10.63milと表示されます。
5.情報ボックスを閉じて、右クリック、または ESC を押し、計測モードを抜けます。VF のショートカットで、ドキュメントを再ズームさせます。

現在のクリアランスルールを見てみましょう。
1. Design » Rules [ショートカット D, R] をメニューから選び、PCB Rules and Constraints Editor ダイアログ を開きます。 Electrical カテゴリをダブルクリックすると、すべての電気的ルールがダイアログの右側に表示されます。 Clearance タイプをダブルクリックして、Clearance ルールをクリックすると、ルールが表示されます。 ダイアログの下側にルールが1つ表示されていて、ボード全体の最小クリアランスが13 milに設定してあることがわかります。 トランジスタのパッド間のクリアランスはこの幅よりも小さく、これがDRCを実行したときに違反が発生した原因です。
トランジスタのパッド間は10 milよりやや大きいことがわかっているので、デザインルールを設定して、トランジスタだけのクリアランス制限を10 milにします。
2.Design Rulesフォルダで Clearanceタイプを選び、右クリックしてNew Ruleを選択して、新しいクリアランス制限ルールを追加します。
3.新しいクリアランスルール、Clearance_1 をクリックします。 結果ページの Constraints セクションで、Minimum Clearance を 10mil にします。
4. Advanced (Query) をクリックし、次に Query Helper をクリック。Memberships Checks からクエリを作成します。 あるいは、以下のクエリを Query フィールドに入力して、最初のオブジェクトにします(図 14)。

HasFootprintPad('TO-92A','*')
'*'(アスタリスク)は、フットプリント TO-92A の ''任意のパッド' を示します。

5.2番目のオブジェクトのスコープは ALL のままにして、OK をクリックします。ApplyOK の順にクリックして、PCB Rules and Constraints Editor ダイアログを閉じます。
6.再び、DRC をDesign Rules Checker ダイアログ(Tools » Design Rule Check)から走らせます。Run Design Rule Check ボタンをクリックしてください。 今度は、違反が起きません。
7.完成したPCBとプロジェクトを保存します。


図14 ルールを作成するためのConstraints EditorダイアログでPCBルールを使用

以上で終わりです。これでPCBレイアウトは終了し、ドキュメントを出力する準備ができました。

出力ドキュメント

PCBのデザインとレイアウトは完成しました。出力ドキュメントを作成して、ボードレビュー、製造、組み立てに進んでみましょう。 これらのドキュメントは一般的に、ボード製造工程のために企画されています。さまざまなテクノロジと手法がPCBの製造に関連しているので、Altium Designerでは以下のような出力を行うことができます。

アセンブリ出力

  • アセンブリ描画 - ボードの各面におけるコンポーネントの位置と向き
  • ピック&プレース ファイル - ロボティック配置機構を使用して、ボードにコンポーネントを配置

ドキュメント出力

  • コンポーネント描画 - 完成後のボードアセンブリ。コンポーネントとトラックを含む。
  • PCB 3D プリント - 3次元パースからのボードビュー
  • 回路図プリント - デザインに使用された回路図のプリント

製造出力

  • コンポーネントドリル描画 - ドリル穴の位置とサイズ(シンボルを使用)。単一描画されたボード用。
  • ドリル描画/ガイド - ドリル穴の位置とサイズ(シンボルを使用)。分割描画されたボード用
  • 最終アートワークプリント - さまざまな製造出力を組み合わせ、単一プリント可能な形で出力
  • ガーバーファイル - ガーバーフォーマットで製造情報を作成
  • NC ドリルファイル - NCマシンで使用可能な製造情報を作成
  • ODB++ - ODB++ データベースフォーマットで製造情報を作成
  • パワープレーン プリント - インターナルプレーンとスプリットプレーンの描画を作成
  • ソルダ/ペーストマスク プリント - ソルダマスク、ペーストマスクの描画を作成
  • テストポイント レポート - さまざまなフォーマットで、テストポイント出力を作成

ネットリスト出力
ネットリストには、デザイン中のコンポーネント間の論理的な接続が記述されていて、他のエレクトロニクス設計アプリケーションへにデータを移送するのに便利です。

レポート出力

  • 部品表(BOM) - ボード製造にもとめられるさまざまなフォーマットで、部品と数量のリスト(BOM)を作成
  • コンポーネントのクロス参照レポート - デザイン中の回路図に基づいて、コンポーネントのリストを作成
  • プロジェクト階層レポート - プロジェクト内で使用されるドキュメントのソースのリストを作成
  • シングルピンネット レポート - ただひとつの接続だけがあるネットを集めたリストを作成
  • シンプルBOM - テキストとコンマで区切られた変数(CSV)のファイルをBOMから作成

ほとんどのドキュメントは、編集/構成可能で、必要に応じてカスタマイズできます。 設計を数多くこなしていくうちに、同じ、または似たような出力ドキュメントを作成することが多くなります。 Altium Designerは出力ジョブ ファイル(Output Job Files)と呼ばれる仕組みを提供しています。その専用インターフェースである出力ジョブ エディタ(Output Job Editor)では、さまざまな出力ドキュメントをまとめ、さまざまなメディア(直接プリント、PDF、ファイル生成)で出力することができます。

出力ジョブ エディタ(Output Job Editor)についての詳細は、TR0127 出力ジョエディタのリファレンス TR0127%20OutputJob%20Editor%20Reference.pdfを参照してください。
PDF出力についての詳細は、OG0109 PDFに出力 OG0109%20Publish%20to%20PDF.pdfを参照してください。

製造用出力ファイル

このチュートリアルでカバーするPCB設計プロセスの最終段階は、ガーバーファイル、NCドリルファイル、部品情報(BOM)など、製造用ファイルの作成です。 ここでは、出力ジョブ エディタは使いません。個々のメニューコマンドを使用します。すべての出力ドキュメントはメニューシステムがらも直接作成することができます。 出力ドキュメントの構成は、プロジェクトファイルの一部として保存できることに注意してください。

ガーバーファイルの生成

各ガーバーファイルは、コンポーネントオーバーレイ、トップシグナルレイヤ、ボトムシグナルレイヤ、ソルダマスクレイヤなど、物理的ボードのそれぞれひとつのレイヤに対応しています。 ガーバーファイルやNCドリルファイルを生成する前に、基板製造業者へ必要なデータの形式について問い合わせておくことをお勧めします。

このチュートリアルのPCBで製造ファイルを作成するには、次の操作を実行します:
作成中に自動的に出力ファイルが開くのを望まない意場合は、Project » Project Optionsを選び、 Options タブをクリック。Open outputs after compile optionを無効にしてください。
1. File » Fabrication Outputs » Gerber Filesを選択します。 Gerber Setupダイアログが表示されます。
2. Layers タブ、Plot Layers ボタンをクリックし、Used Onを選択します。 OK をクリックしてデフォルト設定を適用します。
3.ガーバーファイルが生成され、CAM エディタが開いてファイルを表示します。 ガーバーファイルは、Project Outputs フォルダに保存されます。このフォルダは、プロジェクトファイルが保存されているフォルダに自動的に作成されます。 各ファイルには、レイヤ名に関係のある拡張子がつけられます。たとえば、Multivibrator.GTO はガーバートップオーバーレイに対応しています。 これらはGenerated CAM Documents フォルダのProjects パネルに追加されます。.

同様に、File » Fabrication Outputs » NC Drill Files コマンドで、NC Drill Setup ダイアログを開いて(デフォルト設定はそのままで)、NC ドリルデータを出力してください。

部品表(BOM)の作成

このチュートリアルのPCB用の部品表(BOM: Bill of Materials)を作成します。
1. Reports » Bill of Materials を選択します。 Bill of Materials for PCB Document ダイアログが表示されます。

2.このダイアログで、BOMを作成します。 レポートに含めたい各欄の Show オプションを有効にします。
3. All Columns リストから部品を選んで、Grouped Columns リスト にドラッグすると、コンポーネントがBOMのデータタイプごとにグループ分けされます。 たとえば、Footprintでグループ分けしたい場合は、FootprintAll Columns リストで選んで、Grouped Columns リストにドラッグします。. レポートはそれにしたがって、ソートされます
4. Open Exported オプションを有効にして、CSVFile Format として選びます。Export ボタンをクリックすると、BOM ファイルが生成され、すぐに CSV ビューア(たとえば、Microsoft Excel)に表示されます。 BOMには多くのオプション、その他のレポートがあり、非常に高度な柔軟性で、レポートの定義、組織化を可能にしています。 ダイアログを閉じます。

お疲れ様でした。 これで、PCB設計プロセスは完成です。

より深いレベルで使いこなすために

このチュートリアルでは、Altium Designerの強力な機能のいくつかを紹介しました。 回路図をキャプチャし、PCBのデザインと配線を行いました。しかし、これらはAltium Designerが提供している強力なデザイン機能のほんの一部に過ぎません。 一度、Altium Designer について調べ始めると、より「ラク」な設計を可能にする豊富な機能群を見出すでしょう。 Altium Designer の可能性を確認できるように、多くのサンプルファイルも添付されています。 それらのファイルは、通常、メニューからFile » Open を選択し、Altium Designerがインストールされているディレクトリの\Examples のフォルダを開いて参照することができます。 このフォルダ内には、ボードデザインのサンプルファイルの他に、Altium Designerの特別な機能を備えたサンプルファイルが保存されている多くのサブフォルダも含まれています。

Circuit Simulation サブフォルダを確認して、Altium Designerのアナログ、デジタルシミュレーションの可能性を確かめてください。 アンプや電源などのアナログのサンプルファイルによる回路設計のさまざまなデモとだけでなく、混在モードのサンプル、関数のサンプル、ソース依存型線形/非線形のサンプル、真空管などサンプルがあります。
ロジックのスイッチング、デザインクロックスピードの更なる高速化に伴い、デジタル信号の質も、ますます重要になっていきます。 Altium Designerには、洗練された伝送線路解析ツールが含まれていて、ボードレイアウトを正確にモデル化し、分析することができます。 伝送線路解析に必要な設定、インピーダンス、オーバーシュート、アンダーシュート、スロープなどは、PCB デザインルールで定義され、標準のデザインルールチェックで検査されます。

より詳細な解析が必要なネットがある場合は、Tools » Signal Integrity を選択し、デザインに伝送線路解析(Signal Integrity Analyzer)を実行し、そこで反射やクロストークシミュレーションを確認することができます。 結果は、オシロスコープのような波形アナライザに表示されますので、実行内容の検証や、波形からの直接測定ができます。

この入門チュートリアルを最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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