Mentor Graphics DxDesigner から Altium Designer へ移行
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多くの DxDesigner® ユーザは、PADS Layout® の PCB レイアウトと DxDesigner の回路図を組み合わせて使用します。このアプリケーションノートでは、この組み合わせを仮定します。
導入 - DxDesigner デザインの移行
回路図やライブラリファイルを含む Mentor Graphics® DxDesigner® デザインは、中間フォーマットに変換しないで(DxDesigner をインストールする必要は無く) Altium Designer のインポートウィザードで直接、インポートできます。このようなファイルは、Altium Designer の回路図ドキュメント (*.SchDoc) へ変換されます。Logic ファイル内で定義したシートごとに回路図ドキュメントが作成され、PCB project (*.PrjPcb) へ追加されます。
インポートウィザード (File » Import Wizard) は、ファイルを分析し、プロジェクトフォルダ、他のライブラリへのプロジェクトリンク、描画形式、出力プロジェクト構造のようなデフォルト設定を利用して、デザインの変換で見つかった悩みを解消します。ウィザードでは、変換プロセスへ渡す前に、移行するための設定を柔軟にコントロールできます。
インポートウィザードを使用して DxDesigner のデザインをインポート
DxDesigner の回路図ファイルのみ、または PADS Layout PCB と組み合わせて使用するかどうか、インポートウィザードで指定できます。プロジェクトファイルと回路図ファイルは、DxDesigner と Altium Designer とで名称のつけ方や構成方法に違いがあるためです。インポートプロセス後、回路図デザインとライブラリファイルがどのように変換されるか理解するために確認する価値はあります。
DxDesigner は、ユーザ定義のディレクトリパスに基づいた設計プロジェクトを管理します。そして、システムは、最初に参照する場所としてこのプロジェクトパスを使用します。例えば、ファイルタイプのためにファイル拡張子を使用する代わりに、プロジェクトパス内の sch フォルダ下のファイルは回路図ファイルであることを示します。個々の回路図ファイルは、Name.N(N は数字)のような命名規則に従います。例えば、schematic_design.1 です。DxDesigner は、これを回路図ファイルとして識別します。これは、そのファイルが sch フォルダ下の指定したプロジェクトパス内にあるためです。また、このプロジェクトパス内の sym フォルダは、シンボルフォルダを示します。このフォルダ下のファイルはライブラリファイルになります(回路図ファイルと同じ命名規則に従います)。
Altium Designer は、回路図ファイル、ライブラリファイル、プロジェクトファイルのようなファイルタイプとして特定のファイル拡張子を使用します。インポートウィザードを使用して DxDesigner のファイルをインポートする時、プロジェクトディレクトリ名を尋ねられます。インポートウィザードは、指定したプロジェクトパス内で sch や sym フォルダを探します。そのディレクトリが存在しない場合、ワーニングメッセージが表示されます。
回路図ファイルの変換
インポートウィザードで、DxDesigner のプロジェクトパスや回路図ファイルは以下のように変換します:
Project paths は、自動で Altium Designer PCB (*.PrjPCB) プロジェクトが設定されます。変換されると、ファイルはその PCB プロジェクトにグループ化されます。例えば、DxDesigner のプロジェクトパスとして C:\my_projects\LED_Matrix_Display を指定した場合、インポートウィザードは LED_Matrix_Display.PcbPrj を作成します。
Schematic files (Name.N) は Altium Designer schematic files (*.SchDoc) へ変換します。各回路図ファイルは、1 つの Altium Designer の回路図ファイルとしてインポートされます。デザイン階層はそのまま維持されます。
回路図オブジェクトの変換
ほとんどのコンポーネント属性は、パラメータへ変換されますがいくつか例外があります:
Power Objects - NETNAME 属性を含む DxDesigner のシンボルは、Altium Designer のパワーオブジェクトとして識別され変換されます。
Ports - パワーオブジェクトと同様に、属性があるシンボルはポートとして表現します。IN, OUT, BI 属性を含む DxDesigner のシンボルは、Input, Output, Bidirectional ポートとして識別され変換されます。
Signal - SIGNAL 属性を含むシンボルは、hidden パワーピンとして識別され変換されます。
Reference Designator - DxDesigner のシンボルに含まれる REFDES 属性は、REFDES = R? のフォーマットです。それをシートに配置した時、ユーザはシート内の REFDES のコンポーネント(例えば、REFDES = R21)を指定します。
他の共通のデザインオブジェクトは次のように変換します: DxDesigner のワイヤセグメントやバスはワイヤやバスへ変換します。DxDesigner のワイヤ、またはバスセグメントはラベルを付けることができます。これはネットラベルに変換されます。DxDesigner の D [0:8] のフォーマットのネットラベルは D [0..8] に変更されます。複合のシンボルタイプは、Altium Designer のシートシンボルとして識別、変換されます。シンボルピンはシートエントリとして変換され、シートシンボルのファイル名は、シンボルファイルのプリフィックスに一致する回路図シートを示します。
回路図ライブラリファイルの変換
DxDesigner のシンボルライブラリファイルは次のように変換します: シンボルファイル (Name.N) は Altium Designer library files (*.SchLib) へ変換します。各シンボルファイルは、1 つの Altium Designer のライブラリファイルへインポートされます。変換されると、ファイルは自動で作成される Altium Designer PCB project (*.PrjPCB) へグループ化されます。
回路図シンボルの変換
Component Name - 以下の表は、DxDesigner のシンボルが Altium Designer のコンポーネントへ変換する方法を示します:
DxDesigner のシンボル | Altium Designer のコンポーネント |
---|---|
シンボルファイル名。 | コンポーネント名 |
REFDES 属性 | デジグネータ |
DEVICE 属性からの使用 | コメント |
他のシンボル属性 | パラメータ |
Pin Type - 以下の表は、DXDesigner から Altium Designer へ移行する時の PINTYPE 属性のマップです:
DxDesigner のピンタイプ属性の値 | Altium Designer のピンタイプ |
---|---|
BI | IO |
TRI | HiZ |
ANALOG | Passive |
OCL | Open Collector |
OEM | Open Emitter |
Graphical Objects - 多くのオブジェクトは、直接、DXDesigner から Altium Designer へ変換されます。ボックス(左下と右上を定義)は 4 点のポリゴンに変換します。
Multiple-part symbols - パート数を示すシンボルに付けた PARTS 属性は、Altium Designer のサブパート数に変換されます。
Annotate Symbol Type - DxDesigner では、シンボルを 4 つのタイプ(composite, pin, annotate, module)に分類します。DxDesigner でよく使用するシンボルは、シートボーダーとグラフィカルアノテーションです。このようなシンボルは、TYPE = Graphical 付きのコンポーネントとして Altium Designer に変換されます。 Heterogeneous Symbols - DxDesigner の Heterogeneous シンボルは、同じ HETERO 属性を持つシンボルのグループです。シンボルが HETERO タイプ下でグループ化される場合、1 つのデバイスを表します。Altium Designer は、これらのシンボルを heterogeneous タイプに依存するコンポーネント下の複数の parts、または表示モードへ変換します。3 つのタイプがあります:
- HETERO TYPE 1- 同じデバイス内で異なるコンポーネント。このタイプに割り当てられた Altium Designer の属性は、HETERO = sym1, sym2, [sym3] のフォーマットに従います。
- HETERO TYPE 2 - 同じデバイス内で異なるゲート。このタイプに割り当てられた Altium Designer の属性は、HETERO = sym, (symP) where P = PARTS number のフォーマットに従います。
- HETERO TYPE 3 - これは split IC です。このタイプに割り当てられた Altium Designer の属性は、HETERO = (icsymname), (icsymname) のフォーマットに従います。このタイプと HETERO TYPE 1 との主な違いは、DxDesigner で使用する IC に関連した context のみです。
インポートウィザードを使用して PADS Layout ファイルをインポート
インポートウィザードは、Altium Designer の File メニューから実行できます。ウィザードを表示するために、このメニューコマンドをクリックします。ウィザードの各ページで右クリックして、変換プロセスの詳細なコントロールが可能です。
インポートウィザードのファイルは以下のように変換します:
- PADS ASCII PCB Layout (*.ASC) ファイルは Altium Designer PCB files (*.PcbDoc) へ変換します。
- 以下のように変換する PADS ASCII PCB Library ファイルは、Altium Designer PCB library files (*.PcbLib) へ変換します。
- これらのファイルは、自動で作成される Altium Designer PCB project (*.PrjPCB) へグループ化されます。
PADS PCB ASCII ファイルのレイヤマッピング
PADS PCB レイヤは、インポートする前に Altium Designer のレイヤへマップする必要があります。インポートウィザードではデザインルールを自動で作成したり、missing ビアやキープアウトを変換するオプションがあります。
レイヤがどのように PCB デザインのインポートでマップされるかについて注意する必要があります。レイヤマッピングは、PADS PCB レイヤの名称と Altium Designer PCB レイヤの名称とのマッピングです。もちろん、デフォルトマッピングを希望のマッピングへ変更できます。このマッピングは、各 PCB のレイヤマッピングを構築するためにインポートウィザードで使用し、個々にカスタマイズできます。この理由として例えば、10 個の PCB デザインをインポートして、layer Assembly 1 を Mechanical Layer 1 へマップしたい場合、10 個の PCB デザインのためにそれぞれカスタマイズする必要はありません。
この方法でインポートする利点は、複数のデザインをインポートする時、レイヤマッピングのバッチ管理の時間を節約できると言うことです。デフォルトレイヤマッピングは希望の設定で保存できます。これを使用する不利な点は、Default Layer Mapping は異なるデザインの構造と連動しません。そのため、後で手動の変更が必要になるかもしれません。その状況に適した方法を決める必要があります。
Altium Designer のドキュメントで作業
PADS Layout では、全ての設計作業はワークスペース(PCB 設計の論理的な作業領域)から開始します。各デザインは 1 つのデザインファイル (*.PCB file) に保存されます。また、デザイン内で再利用する PCB デザインの一部を保存できる、physical design reuse files (*.REU) があります。これらは無視され変換されません。
Altium Designer では、論理的な設計領域はドキュメントから開始します。各ドキュメントはハードドライブに保存されたファイルです。これは、Altium Designer の回路図シート(ページ)ごとにファイルがあることを意味し、重要な概念の違いになります。また、作業しているデザインの本質に依存して、異なるタイプのデザインドキュメントにできます。DXDesigner ユーザは、この変換されるファイルの回路図や PCB ドキュメントのタイプに関心があります。
回路図シンボルは Part
parts は、PADS Layout デザインの基本的な構造ブロックを形成します。Parts はパートタイプ、ロジックファミリー、ピン数、ゲート数、信号ピンを定義します。コンポーネントと言う用語は、part が PCB レイアウトデザインの物理的なオブジェクトとして配置される時のみ使用します。
PADS Layout (PCB) で、part は1つ、または複数の物理的なコンポーネントを表します。PCB デザインの parts は通常、物理的なオブジェクト(ゲート、チップ、コネクタ、パッケージ内にあるオブジェクト)に相当します。複数のパートがあるパッケージは、1つ、または複数の parts からなる物理的なオブジェクトです。DxDesigner では、シンボルブロックタイプは属性、ピン、様々な特性によってグラフィカルに表現される論理的な実体です。ブロックタイプを回路図に配置すると、DxDesigner はバックアノテーション、ネットリスト、部品表等のために part を識別します。part には、最小限、part 名、part 参照プリフィックス、PCB フットプリントの名称が必要です。
デザインの context に従って同じ用語を使用するこれらの 2 つの定義は、コンポーネントと言う用語を使用する新しい環境で最初に混乱を引き起こすかもしれません。しかし、回路図シンボルがデザインの全ての段階で part であること以外、Altium Designer で作業する方法は同じです。
Altium Designer では、論理的なシンボルはコンポーネントの開始点になります。最低限、回路図ライブラリ(ピンやグラフィカルシンボル、または alternative 表示オプションを追加できます)の名称として最初に定義できます。この柔軟性により、設計中、異なる方法でコンポーネントを表現できます。これは、回路図の論理的なシンボルとしてだけでなく、PCB のフットプリント、またはシミュレーションのために SPICE を定義できます。
デザインルールスコープ
Main article: Design Rules
PADS Layout の Rules Hierarchy は、ルールスコープ(ルールの範囲)に置き換わります。スコープは、メンバーオブジェクト(ルールで管理してコントロールできます)を定義するために構築するクエリです。基本的な比較のために、PADS Layout の Rules Hierarchy を確認します。These rules rely on a pre-defined list format where higher numbers on the list have precedence over those that are lower:
- Default
- Class
- Net
- Group
- Pin Pair
- Decal/Component
PADS Layout ルールでは、デフォルトルールはレベル 1 とみなされ優先度が最も低く、Decal や Component ルールは最も高い優先度になります。条件付きのレイヤルールは、特別な優先度のレベルを適用できます。例えば、条件付きレイヤルールのデフォルトはデフォルトルールより優先度が高くなります。
Altium Designer では、スコープは、クエリを通してルールの優先度を目的のオブジェクトへどのように適用するか決めることができます。同じタイプの複数のルールを定義できますが、異なるオブジェクトをターゲットにする必要があります。クエリは、どんなルールにも容易に設定できます(図 22)。また、複雑なクエリを記述する手助けとなる Advanced (Query) オプションを利用できます。
現在、デザインルールを使用したくない(将来的に使用したい)場合、削除しないで無効にできます。これを行うには、ルールのリストの Enable オプションを切り換えます。
全てのデフォルトのデザインルールには、ボード全体へ適用することを意味する ALL のスコープ (Full Query) があります。また、ユーザ定義の優先度の設定があります。ルールスコープや優先度の組み合わせにより、デザインルールを正確にボードへ適用できます。
Altium Designer のライブラリ
Altium Designer の統合ライブラリは、ソースシンボル、フットプリント、その他の情報(例えば、SPICE やその他のモデルファイル)が 1 つのファイルへコンパイルされたものです。コンパイル中、モデルとシンボル間の関連を確認したり、それらを 1 つの統合ライブラリへまとめるために、どのような関連性を定義するかチェックします。このファイルは、移動や安全性を考慮しコンパイル後、直接、編集できません。Altium Designer の 70,000 ものコンポーネントは統合ライブラリで提供されています。そこから、必要に応じてソースライブラリを抽出できます。
PADS のオブジェクト | Altium Designer のオブジェクト | 解説 |
---|---|---|
Decal | フットプリント | PCB へ実装するコンポーネントを表すグラフィカルな形状。これは 2 次元で表現し、実際のコンポーネント自体と異なることがありえます。 |
Part | Part/コンポーネント | Part と言う用語は、Altium Designer の回路図でのみ使用します。PCB ファイルへフットプリントとして配置されると、デジグネータや値(コメント)が設定されコンポーネントになります。 |
Lines | ライン | グラフィカル情報に使用するプリミティブオブジェクト。 |
CAE Decal | 回路図シンボル | NOR ゲートのような回路図でのグラフィカルな表現。 |
参照
以下は、特定のタスクを通して参照するのと同様に、概念情報についての詳細が記述されている Altium Wiki 内のその他のアーティクルとチュートリアルを参照できます。Help を通してブラウズしたり、F1 やダイアログ内で What's This を使用できることも思い出してください。
PCB プロジェクト オプションの詳細については、チュートリアル - PCB 設計入門 のチュートリアルを参照してください。
FPGA プロジェクト オプションの詳細については、チュートリアル - FPGA 設計入門 のチュートリアルを参照してください。
基本的なコンポーネントの作成に関するチュートリアルは、Creating Library Components を参照してください。
基本的な複数オブジェクトを編集するステップのチュートリアルについては、Editing Multiple Objects を参照してください。
Altium Designer の FPGA デザイン、開発やデバッグ機能の概要については、ソフトデザイン を参照してください。